首里城跡(読み)しゆりじようあと

日本歴史地名大系 「首里城跡」の解説

首里城跡
しゆりじようあと

[現在地名]那覇市首里当蔵町三丁目

那覇市の北東部、標高約一三〇メートルの丘陵上に位置する。東西約四〇〇メートル・南北約二〇〇メートル、面積約四万七千平方メートルに及ぶ県下最大級の城跡(グスク)で、琉球王国の王府・王宮であった。国指定史跡。二〇〇〇年(平成一二年)にはユネスコの世界遺産に登録された。

〔古琉球〕

中山世鑑」などの正史は開闢当初から首里が王都で、首里城も天孫氏による造営とする説を述べるが、創建時をめぐる同時代史料は今のところ存在しない。宣徳二年(一四二七)に建立された安国山樹華木之記碑(県立博物館蔵、県指定文化財)によると、尚巴志の命で懐機が中国の名園を視察して帰国し、首里城の北に池(龍潭)を掘り花木を植栽するなど外苑整備を行った。それ以前に城郭内の施設整備は進行しており、それを受けて外苑整備に取りかかったものと推定される。翌年に国門(中山門)が創建されたというから(琉球国旧記)綾門大あいじよーうふ道の原型もこの頃整備されたと推定される。景泰四年(一四五三)王位継承をめぐる志魯・布里の乱が起こり、城は全焼した。「明実録」同五年二月己亥条に次兄と姪が争い、府庫が焼け鍍金銀印が失われたと尚泰久が告げてきたとある。

景泰七年琉球に漂着し首里城を見聞した朝鮮人梁成らの報告(「李朝実録」世祖八年二月辛巳条)によると、王城は外城・中城・内城の三重構造になっており、外城に倉庫・厩が、中城に侍衛軍二〇〇人余が詰め、内城に閣が建っていた。閣は三階建になっており、上層は倉庫・保管庫、下層は酒食を供する場、中層は王のいるところで侍女が二〇〇人余もいた。閣は朱色に塗られていたが、屋根は板葺で、その外面は金属性の塗料で塗られていた。閣に連結して回廊式の建物があり、城は曲線を描く城壁で囲まれ、随所に城門が配置されていた。閣は正殿(百浦添御殿)のことで、志魯・布里の乱による全焼から三年後の見聞であるから、この時点で城はすでに再建されていたことになる。天順二年(一四五八)鋳造の万国津梁鐘(県立博物館蔵、国指定重要文化財)の銘によると、この梵鐘は王殿(正殿)の前に掛着する目的で造られた。「海東諸国紀」の琉球国之図には沖縄島中央に「琉球国都」と大書されており、円形の三つの郭が表現されている。いくつもの門があり、大倉や王弟・大臣の居所の存在が記されていることから、明らかに首里城を表現した図である。

一五世紀末―一六世紀中期の尚真王・尚清王代に重要な整備が行われた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「首里城跡」の解説

しゅりじょうあと【首里城跡】


沖縄県那覇市首里にあるグスク(城)跡。首里丘陵の最高部、標高120~130mに営まれた琉球王国の都城跡。規模、構造ともに沖縄を代表する重要な城跡であることから、1972年(昭和47)に国の史跡に指定された。1998年(平成10)に園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)が追加指定を受け、2000年(平成12)には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として、世界遺産に登録された。首里城は沖縄県が発足した1879年(明治12)までの五百有余年にわたって琉球王国の都城として君臨した城で、創建年代は不明だが、第一尚氏による三山統一後に王城として確立され、その後、第二尚氏の尚真、尚清によって、今日の首里城の規模ができ上がったといわれる。城跡は東西約400m、南北270m、城の外郭には歓会門、久慶門、継世門、木曳門、内郭には瑞泉門、淑順門、白銀門など8門を設け、城壁は琉球石灰岩の切り石を6~10mの高さに積み上げている。内郭には木造の諸宮殿が造営され、正殿の前面左右に南殿、北殿が配置され、そのまわりに書院、内原書院などがある。正殿は沖縄最大の建築物で、高さ16.3m、面積1355m2、本瓦葺き入り母屋造りで、正面は唐破風造りにして建物全体が基壇の上に建てられていた。これらの建物はすべて第2次大戦で失われ、城内の拝所、首里森(しょりもり)も原形を失ったが、現在は正殿を中心とする建築物群、門、城郭が再建され首里城公園として整備されている。園比屋武御嶽は首里城跡の西北、歓会門と守礼門の間にあり、1519年(正徳14)、尚真王の時代に創建され、拝殿に当たる石造の門が現存する。那覇バスターミナルから沖縄バス「首里城前」下車、徒歩約3分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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