琉球石灰岩(読み)リュウキュウセッカイガン

デジタル大辞泉 「琉球石灰岩」の意味・読み・例文・類語

りゅうきゅう‐せっかいがん〔リウキウセキクワイガン〕【×琉球石灰岩】

南西諸島中部から南部にかけて広く分布する石灰岩地層。新生代第四紀更新世サンゴ礁に起源する。沖縄県では総面積の約3割を占め、台地や岬などを形成する。古くから建材として利用され、首里城石畳の道などで見られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「琉球石灰岩」の意味・わかりやすい解説

琉球石灰岩 (りゅうきゅうせっかいがん)

琉球列島と台湾に発達する第四紀更新世の石灰岩の総称。現在知られている北限は吐噶喇(とから)列島宝島である。台湾屛東(ピントン)県琉球嶼を模式地に矢部長克,半沢正四郎により命名され(1930),当初は第三紀鮮新世とされたが,層序区分とともに微化石年代や放射年代(イシサンゴ化石)の研究が進むにつれ,台湾の一部を除き,すべて更新世であることがわかった。主体の石灰岩のほかに,礫(れき),砂,泥などの卓越する部分もあり,全体を琉球層群と改称されるようになったが,石灰岩が多い場合は島ごとに独立の地層名を与える代りに,琉球石灰岩の名で一括して取り扱う場合が多い。一般に地表隆起サンゴ礁や海面下の沈水サンゴ礁として段丘地形をつくる。大小洞穴が発達し,帯水層として住民の生活に重要な役割を果たしている。
執筆者: この石灰岩のうち,膠結(こうけつ)の進んだ緻密(ちみつ)なものを堆積層と垂直に切断,研磨すると縞状の模様を示す。細孔が散在しトラバーチンと酷似した外観を呈するので,成因はまったく異なるが,〈琉球トラバーチン〉と呼ばれて,建築の装飾用に使用されてきた。沖永良部(おきのえらぶ)島,沖縄本島,宮古島などがその産地で,中でも沖縄本島うるま市の旧勝連(かつれん)町産は特に名高く,皇居新宮殿の玄関壁面にも使用された。しかしどの産地でも大材はえにくく,今日では建築用石材としての利用はまったく後を絶ち,多少の土木用材が採石されているにすぎない。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「琉球石灰岩」の意味・わかりやすい解説

琉球石灰岩
りゅうきゅうせっかいがん
Ryukyu limestone

琉球諸島の海岸地域に分布する新第三系鮮新統を主体とする石灰岩の地層。石灰岩は白,灰,黄褐色などで多孔質である。

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