香港証券取引所(読み)ほんこんしょうけんとりひきじょ(英語表記)Hong Kong Exchanges and Clearing Limited

日本大百科全書(ニッポニカ) 「香港証券取引所」の意味・わかりやすい解説

香港証券取引所
ほんこんしょうけんとりひきじょ
Hong Kong Exchanges and Clearing Limited

香港にある、アジアを代表する証券取引所。中国語の名称は香港交易所で略称は港交所、英語名の略称はHKEx。香港では1891年に最初の証券取引所が設立され、その後、複数あった取引所が合従連衡を繰り返した。2000年3月、証券取引の香港聯合(れんごう)交易所、先物取引の香港期貨交易所、決済機関の香港中央結算有限公司が合併して現在の香港証券取引所となり、2000年6月に自ら株式を上場した。上場企業の株式時価総額は3兆8192億ドル(2018年末時点)で、世界第5位の規模をもつ。同時点の上場企業数は2315社で、携帯電話大手の中国移動(China Mobile)、エネルギーの中国海洋石油(CNOOC)、保険の友邦保険控股(ゆうほうほけんこうこ)(AIA)などが上場している。2012年には、非鉄金属取引で世界最大のロンドン金属取引所(LME)を買収した。香港証券取引所への上場は中国・アジア市場へ進出する足がかりを築く意味合いがあり、2010年以降、イタリアのプラダやアメリカのコーチなど欧米ブランド会社や化粧品会社などが相次いで上場。新規株式公開(IPO)による資金調達にも定評があり、資金調達額は2009年から2011年まで3年連続世界首位で、2015、2016、2018年も世界首位であった。

 市場には大企業が上場するメインボード(主板)と、新興企業向けのグロース・エンタープライズ・マーケット(GEM、創業板)がある。中国企業も上場しており、中国本土で登記した企業の株式をH株、中国本土外で登記した企業(おもに香港法人)の株式をレッドチップとよぶ。香港の代表的株価指標に、同取引所の上場株式で構成するハンセン指数があり、代表的企業の時価総額加重平均指数として、基準日(1964年7月31日)の時価総額を100として算出している。なお日本企業が香港証券取引所に上場するためには、発行株式そのものを上場する単独上場方式と、金融機関に日本本国の株式を預託して香港預託証券(HDR)を発行する方式がある。単独上場では、2012年(平成24)、大手パチンコ会社のダイナムジャパンホールディングスが日本企業として初めて上場した。HDR方式では、衣料品店ユニクロを経営するファーストリテイリング(2014)などが上場している。

[矢野 武 2019年5月21日]

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