普及版 字通 「馮」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] ヒョウ・フウ
[字訓] はしる・たのむ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(氷)(ひよう)。〔説文十上に「馬行くこと疾(はや)きなり」とあり、馬が競うように疾走することをいう。馮怒・馮盛の意は、その引伸義であろう。また古く憑依の意に用いる。おそらく馮怒・馮盛の状態が、神の憑依するエクスタシーの状態と似ており、馬のその状態を一種の憑依現象とする考えかたがあったのであろう。

[訓義]
1. はしる、馬がはしる、ものに憑かれたように走る。
2. さかん、はげしい、いかる、きおう、みちる。
3. 憑(ひよう)と通じ、たのむ、よる、まかせる、乗ずる。
4. (ほう)と通じ、水をかち渉る。

[古辞書の訓]
名義抄〕馮 オホイナリ・イカル・サカリ 〔字鏡集〕馮 ノル・イカル・サカリ・アハカフ・ヨリドコロ・ノボル・アヒミル・ヲホヒナリ・ヨンデ・ヨル・タノム・ヨリ・イツテ

[語系]
馮・憑・凭bingは声義同じ。馮は馮依を本義とし、〔一切経音義、十七〕に引く〔三蒼〕に「馮は依なり」とあり、〔書、顧命〕「玉几に憑(よ)る」は霊の授受に関する行為である。〔国語、周語下〕「伯陵の後、馮るなり」などが古い用法である。凭(ひよう)は〔説文〕十四上に「几(き)(机)に依るなり。任几に從ふ。書に曰く、玉几に凭る」と〔顧命〕の文を引き「讀みて馮の(ごと)くす」とみえる。凭は玉机に倚(よ)って、神の憑依するのを待つ意であろう。憑依の義の本字bengに作り、〔説文〕八上に「輔くるなり」とみえる。憑・が通用するのは、馮河をまた河に作るのと同じ。bingは〔説文〕十一上に「舟無くして河を渡るなり」とみえ、徒渉の義の本字である。

[熟語]
馮依馮夷・馮河馮几馮気馮尸馮耳馮脩馮戎馮軾馮式馮生馮相・馮遅馮天・馮怒馮馮馮頼馮隆馮陵

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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