日本の郷土料理がわかる辞典 「馴れ鮨」の解説
なれずし【馴れ鮨/熟れ鮨/馴れ鮓/熟れ鮓】
塩漬けにした魚を飯とともに漬け込み、乳酸発酵によって酸味をもたせたすし。酢は用いない。発酵が進むと飯はどろどろになり、飯は食べないで魚だけを食べるものであったが、のちに粒が残る程度に比較的浅く発酵した飯をつけたまま魚を食べるもの、さらに魚の腹に詰めるなどした飯もともに食べるものも作られるようになった。飯を除いて魚だけを食べるものを「ほんなれ」、ともに食べるものを「なまなれ」と区別することもある。また、魚を飯および麹(こうじ)・野菜とともに漬け込むものを「いずし」といい、飯や野菜も食べるのでなまなれの一種ともいえるが、これとは別のルートで日本に伝わり広まったものといわれる。こんにちでは、いずれもなれずしといい、各地の郷土料理に見られる。なまなれであることが多いが、ほんなれでは滋賀のふなずしが、いずしでは石川・金沢のかぶらずし、秋田のはたはたずしなどが知られる。なお、酢を用いるものでも、ある程度の期間発酵させる製法のものをなれずしということもある。