改訂新版 世界大百科事典 「駄別銭」の意味・わかりやすい解説
駄別銭 (だべつせん)
中世に馬1駄につき,いくらという割合で課税され,銭で徴収された関所料。現物徴収の場合は駄別役という。同様のものに馬足役,駄口米がある。中世においては,交通の要衝や京都などの都市の入口に関所がおかれ,関料が課された。これは交通機関の使用料や,治安警備費の徴収に由来するが,中世中後期以後は領主などの得分徴収のために濫設された。その関料徴収の方法として,陸路を馬で運送される場合には1駄ごとに徴収されたのが駄別銭で,それから転じて,この語が一般に関料という意味で使用されている場合もある。戦国期,瀬戸内海で水軍として勢力をもった村上氏は京都,堺の商人が薩摩へ往復して船で運ぶ中国輸入商品などに対する課税を駄別料と称している(〈大願寺文書〉)。これは陸揚げして馬に乗せた分量で課税するものとも解されるが,関料一般の呼称として駄別料と称したと考えた方が妥当であろう。
→関銭
執筆者:脇田 晴子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報