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高尾船字文 たかおせんじもん

世界大百科事典 第2版の解説

たかおせんじもん【高尾船字文】

読本。曲亭馬琴著。1796年(寛政8)刊。馬琴の読本の初作として知られる中本型読本。歌舞伎の《伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)》(伊達騒動)の世界に,中国小説《忠義水滸伝》の翻案をないまぜた趣向で書かれている。着想は斬新で,江戸長編読本の嚆矢(こうし)となったが,奥州太守足利頼兼の遊蕩による遊女高尾斬りをめぐって,忠臣絹川谷蔵,荒獅子男之助,政岡らと,悪人典膳鬼貫(おにつら),仁木佐衛門らが葛藤するという筋立ては,まだ生硬で,伝奇小説独特の面白さを生み出すに至らず,勧善懲悪の趣旨も小説構想にとけこんでいるとはいいがたい。

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世界大百科事典内の高尾船字文の言及

【水滸伝物】より

…これもまた馬琴の合巻《傾城(けいせい)水滸伝》に影響を与えた。水滸伝物の流行は江戸の草双紙類にも浸透するようになり,山東京伝は1789年(寛政1)刊の洒落本《通気粋語伝》で《水滸伝》を翻案し,また92年刊の黄表紙《梁山一歩談》《天剛垂楊柳(てんごうすいようりゆう)》にその梗概を綴り,ついで94年には振鷺亭が《水滸伝》の趣向を世話狂言に仕立てた《いろは酔故伝》を出したが,文字の世界を超えて演劇の世界と《水滸伝》を接合させるというこの着想を受けて,馬琴の読本処女作《高尾船字文》が出た。これは《水滸伝》の一部を人形浄瑠璃や歌舞伎の名作《伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)》の枠組みの中に複合し,道徳的教訓を盛って御家騒動物に仕立てたものである。…

※「高尾船字文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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