日本大百科全書(ニッポニカ) 「高松焼」の意味・わかりやすい解説
高松焼
たかまつやき
香川県に江戸前期から伝わる焼物。高松藩の御庭焼(おにわやき)で、御林(おばやし)焼、稲荷山(いなりやま)焼、石清尾(いわせお)焼ともいわれる。1642年(寛永19)高松に移封された松平頼重(よりしげ)が、幼年期に培った京趣味を求めて京都の陶工紀太(きた)作兵衛(のち理兵衛と改名)を招聘(しょうへい)し、別邸栗林(りつりん)荘の北端に開窯(1647)したと伝えられる。高松焼はこの理兵衛焼の別称で、以降幕末まで紀太家は藩窯の御用にあずかり、明治維新以後は名を理平と改めた。代々理平を名のり、初代理平の作を「古理平」とよんでとくに珍重するが無印で、2代目以降は「高」と「理平」の銘印が押されている。陶技は京焼を受け継いで色絵陶に典雅な秀作が多い。
[矢部良明]