高野山往生伝(読み)こうやさんおうじょうでん

改訂新版 世界大百科事典 「高野山往生伝」の意味・わかりやすい解説

高野山往生伝 (こうやさんおうじょうでん)

日野法界寺如寂の撰。序によれば1184年(元暦1)高野山参詣の時,古老から山内の念仏往生者の話を聞き,遺跡を訪れ逸話を集めて本書編纂(へんさん)したという。冒頭の教懐(1093没)から最後の証印(1187没)まで,38名の伝を没年代順に配列する。すべて高野山の往生者で,覚鑁(かくばん)にはじまる伝法院・密厳院系の真言念仏と,教懐以来の小田原別所系の念仏者の記載が多い。女人の記載はなく,往生者の出自や経歴,教学の系統も一定していない。修行の途中で高野山に入った僧や俗を捨てて入道したものなど多様で,後の高野聖の系譜につらなる僧も見られ,院政期の高野山浄土教を知るうえで重要である。
往生伝
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