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往生伝 おうじょうでん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

往生伝
おうじょうでん

浄業 (じょうごう) を修し,精進努力して阿弥陀仏西方極楽浄土に往生した人々の伝記を集めたもの。高僧伝といわれるものとは異なり,往生した人々中心であるために,僧侶や尼僧ばかりでなく在俗信者信女の往生の様子が描かれているのが特徴。たとえば,唐の迦才の『浄土論』巻下に 20人の僧俗男女の往生の伝記を載せてあるのをはじめ,中国でも多くの往生伝が作られた。また日本でも平安時代末期,源信の『往生要集』の成立の頃に慶滋保胤 (よししげのやすたね) の『日本往生極楽記』が著わされたのち,大江匡房の『続本朝往生伝』などが作られ,特に江戸時代に多く作成された。往生の話は『日本霊異記』『今昔物語』などにも載せられている。

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デジタル大辞泉の解説

おうじょう‐でん〔ワウジヤウ‐〕【往生伝】

極楽浄土に往生した人々の伝記を集めた書物。「日本往生極楽記」「続本朝往生伝」など。

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百科事典マイペディアの解説

往生伝【おうじょうでん】

本来は西方極楽に往生した人の伝記や,臨終時の奇瑞を記したものの総称。唐の迦才(かざい)の《浄土論》下巻に僧俗20人の伝記を載せたのが初めで,日本でも多数の往生伝が書かれた。
→関連項目悪人往生譚往生閑居友慶政

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世界大百科事典 第2版の解説

おうじょうでん【往生伝】

極楽浄土への往生を願い,浄土に往生した人びとの略伝・行業と臨終時の奇瑞(きずい)を簡略に記した伝記集。中国唐代初期に弘法寺迦才の《浄土論》巻下に20人の往生者を収めたのが最初で,往生伝として独立したのは中唐の文諗・少康による《往生西方浄土瑞応伝》からであり,宋代以降多量に撰述された。日本では慶滋保胤(よししげのやすたね)が源信に深く共感して寛和年間(985‐987)に《日本往生極楽記》を撰した。続いて平安時代末期までに大江匡房(まさふさ)《続本朝往生伝》,三善為康拾遺往生伝》《後拾遺往生伝》,蓮禅三外(さんげ)往生記》,藤原宗友《本朝新修往生伝》,如寂《高野山往生伝》が撰述され,浄土願生者のテキストとして受容された。

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大辞林 第三版の解説

おうじょうでん【往生伝】

極楽往生を遂げた人々の伝記を集めた書物。「日本往生極楽記」「続本朝往生伝」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

往生伝
おうじょうでん

さまざまな善業、とくに念仏を修することで阿弥陀仏(あみだぶつ)の浄土に往生した人々の伝を集めた書。浄土教思想が貴族社会に浸透するなかで、中・下層貴族の間には此岸(しがん)的なものへの諦観(ていかん)が生み出されたが、そうした土壌を背景に10世紀の末ごろ、往生伝の嚆矢(こうし)である慶滋保胤(よししげのやすたね)の『日本往生極楽記(ごくらくき)』が撰述(せんじゅつ)された。その序が唐の迦才(かさい)の『浄土論』を引くように、わが国の往生伝には唐・宋(そう)のそれを範型、先例とするものが少なくない。院政期以後、大江匡房(おおえのまさふさ)『続本朝往生伝』、三善為康(みよしためやす)『拾遺往生伝』などが相次いで編纂(へんさん)されたが、『続本朝往生伝』が世俗的な身分秩序を配列原理とするなど、そこには否定さるべき此岸の価値が導入され、『日本往生極楽記』との間に一種の屈折をみいだすことができる。その編纂は、鎌倉時代の『念仏往生伝』を最後に中絶するが、江戸時代に入ると浄土宗が幕府に外護され、ふたたびさまざまな往生伝が生み出されるようになった。[多田一臣]

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世界大百科事典内の往生伝の言及

【死】より

… くしき符合というべきであるが,日本においても〈死の思想〉が急速に広まったのは王朝時代の末期から鎌倉時代の初期にかけてであった。古代末から中世的世界の形成期にかけて姿を現したといえるが,具体的には各種の〈往生伝〉の編述(王朝末期)および《地獄草紙》や《餓鬼草紙》などの六道絵の制作(鎌倉初期)となって実を結んだ。そしてそのような動きに大きな影響を与えたのが源信の《往生要集》であったことは重要である。…

※「往生伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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