鬼籠野村(読み)おろのむら

日本歴史地名大系 「鬼籠野村」の解説

鬼籠野村
おろのむら

[現在地名]神山町鬼籠野

広野ひろの村の南に位置。鮎喰あくい川支流の鬼籠野川が中心部を北流し、その流域の山間部に集落が点在する。東は名東みようどう上佐那河内かみさなごうち(現佐那河内村)、西は神領じんりよう村。往昔当地で里人を苦しめていた悪鬼を退治するため天児屋根命の末孫藤原某が祈祷し、神力によって悪鬼を谷へ追込め退治したという村名にかかわる伝承がある。中世大粟おおあわ(大粟郷)のうち。阿川の勧善あがわのかんぜん寺が所蔵する大般若経の巻一七三奥書に、至徳四年(一三八七)一一月四日付で「於阿波国名西郡大粟山尾呂野勧学坊書写了」とみえる。中世の尾呂野おろのは鬼籠野神社を中心とする四ヵ名(現在の西分・中分・東分・川東)総称で、当地における中心的な地域と推測される。なお承久三年(一二二一)六月、幕府軍に攻められた佐々木経高の一族鳥坂とつさか(現石井町)を追われ、当地弓折ゆみおり(弓折名)で敗死したという(阿波志)。弓折の呼称は忌み嫌われ、のちいちさか(一坂)に改称されたとも伝える。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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