狩猟の際に鳥の群れをおびき寄せる仕方。「雉笛(きじぶえ)」に代表されるように、鳴き声に似せた音を発して鳥仲間を寄せ付ける方法は古くからあり、そのため種々の「鳥笛(とりぶえ)」の類が考案された。江戸時代に竹製の鶯(うぐいす)笛が考案され、鳥寄せのほか芝居の効果にも用いられた。ほかに鳩(はと)笛、ふくろう笛などが現れ、木製・練り物製などの郷土玩具(がんぐ)に広くその名残(なごり)をとどめてもいる。鹿(しか)狩りに用いる「鹿笛」も同類のもので、また練達の狩人(かりゅうど)などは「口笛」でも種々の野鳥を巧みに呼び寄せることができた。こうした「鳥寄せ」の名人は野鳥観察などにも貴重な存在となっている。「かすみ網」の鳥猟でもおとり籠(かご)を林間に仕掛けて渡り鳥をおびき寄せる方法が広く行われ、よく鳴くおとりを育てるのが鳥網猟の秘訣(ひけつ)ともされていた。ウの捕獲には「鳥形(とりがた)」の板木を立て並べておびき寄せる方法が用いられるが、この手法は古くはガン、カモなどの野鳥猟にもあって、鶴型(つるがた)、雁型(がんがた)などとよばれていた。
[竹内利美]
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