改訂新版 世界大百科事典 「鳳朗」の意味・わかりやすい解説
鳳朗 (ほうろう)
生没年:1762-1845(宝暦12-弘化2)
江戸後期の俳人。姓は田川,名は東源,また義長。別号は対竹,鶯竹,芭蕉楼など。熊本の人。父鼎山や久武綺石に早くから俳諧を学び,京陵と号し,江戸に出て道彦(みちひこ)に従って鳳朗と改めた。蒼虬(そうきゆう),梅室とともに天保三大家の一人。野心家で統率力にたけ,大名や多くの貴顕をも門下に擁し,晩年二条家から〈花の本翁〉の称号を受けた。《芭蕉葉ぶね》を著して芭蕉の人格を目ざす俳諧を提唱。作品はやや詩情を欠き,理屈や小主観に堕して俗臭をとどめるが,かえってそれが江戸趣味の気風に通い,大衆に迎えられた。著作に《自然堂千句》《蕉門俳諧師説録》など。〈筑波根もこえよと投(なげ)つ火とり虫〉(《鳳朗発句集》)。
執筆者:石川 真弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報