鳴り物(読み)なりもの

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鳴り物」の意味・わかりやすい解説

鳴り物
なりもの

日本音楽の用語。歌舞伎の下座音楽に用いる三味線以外の楽器の総称およびその音楽。種類は打楽器と吹奏楽器で,材質は皮革製,金属製,木竹製に分けられる。その用途によって主奏楽器と助奏楽器があり,主奏楽器は能楽囃子を踏襲した皮革製の打楽器である小鼓,大鼓 (おおかわ) ,太鼓と,吹奏楽器の能管を四拍子 (しびょうし) と呼び,これに篠笛と大太鼓が加わる。助奏楽器としては皮革製の楽太鼓,大 (だい) 拍子,桶胴 (おけどう) ,団扇 (うちわ) 太鼓,羯鼓 (かっこ) ,金属製の本釣鐘,銅鑼 (どら) ,双盤,当り鉦,鈴 (れい) ,木竹製の笏拍子木琴,木魚,四つ竹,編木 (ささら) などがある。これらの鳴り物は三味線,唄と合奏されて音楽効果や舞台効果をあげるために用いられる。主奏楽器の大小鼓,太鼓と笛は出囃子 (舞台に並んで演奏する) もつとめるが,ほかの楽器は舞台脇の黒御簾 (くろみす) のなかで演奏する約束になっている。上記の楽器で演奏した音楽を鳴り物と呼ぶこともある。鳴り物を取扱う演奏家を囃子方という。

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