デジタル大辞泉
「大太鼓」の意味・読み・例文・類語
おお‐だいこ〔おほ‐〕【大太鼓】
1 舞楽で、伴奏に用いる大型の太鼓。大太鼓。
2 歌舞伎や祭礼などで、囃子に用いる大型の太鼓。台に据えてばちで側面の皮を打ち鳴らす。
3 ⇒バスドラム
だ‐だいこ【▽大太鼓】
雅楽の舞楽に用いる大型の太鼓。鼓面の直径は約2メートル、周囲に火焔の装飾があり、2本の桴で打つ。左方・右方用で、模様・色彩が異なる。火焔太鼓。
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おお‐だいこおほ‥【大太鼓】
- 〘 名詞 〙
- ① 大きな太鼓。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ② 雅楽に用いる音の低い大型の太鼓。だだいこ。
- ③ 祭礼や歌舞伎などのはやしに用いる大型の太鼓。台の上に置いて側面の皮を打つ。歌舞伎では、陰の鳴物として、雨・風・雪・波などの音、怪異な場面、時代物のゆったりした立ち廻り、せり上げなどいろいろに用いられる宮太鼓。
- [初出の実例]「かぐら堂の大太こ、乱調に打ち立給はば」(出典:浄瑠璃・吉野都女楠(1710頃か)かちぢの御幸)
- ④ 主として管弦楽、吹奏楽に用いるサイド‐ドラム。金属製の扁平な円筒形の胴の両面にわくに張った皮をはめこみ、金具で調節できる。歩行の際はつり皮で肩に掛ける。
だ‐だいこ【大太鼓】
- 〘 名詞 〙 雅楽に用いる音の低い大型の太鼓。周囲に火焔の彫刻があり、鼓面の直径は約六尺三寸(約一九〇センチメートル)、左方、右方両太鼓で装飾、色彩を異にする。火焔太鼓(かえんだいこ)。〔教訓抄(1233)〕
大太鼓〈楽家録〉
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大太鼓【おおだいこ】
(1)洋楽では木または金属製の円筒の両端に皮を張った大きい太鼓。普通は台の上に立て,片手に桴(ばち)を持ってたたく。深い響きをもち,合奏のリズムの基礎をきめる重要な楽器。(2)日本伝統音楽では普通ビヤだる形の胴の両端に皮を張り,縁を鋲(びょう)でとめた鋲打太鼓の大型のものをさす。盆踊,神楽(かぐら)など多種類の民俗芸能や下座(げざ)音楽,神事や相撲(すもう)などさまざまな行事に広く使われ,用途により宮太鼓,祭太鼓,櫓(やぐら)太鼓などともいわれる。しかし伝統音楽では雅楽の大太鼓(だだいこ)をはじめ,民俗芸能には大型の締(しめ)太鼓も多く使われている。
→関連項目太鼓|ドラム(楽器)
大太鼓【だだいこ】
舞楽に使われる超大型の太鼓。締太鼓の一種で,直径1.5〜2.5m。釣枠の周囲に火焔の彫刻があるので火焔太鼓ともいう。舞台左右の高欄つきの胴台に載せて演奏する。向かって左の左方用と右の右方用とでは装飾が異なる。
→関連項目大太鼓|締太鼓|太鼓
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大太鼓
だだいこ
雅楽の左右の舞楽に用いる大型の締(しめ)太鼓。鼓胴の周縁に燃え盛る炎を表す巨大な尖塔(せんとう)型の装飾が施されることから、火焔(かえん)太鼓ともいう。鼓面の大きさはさまざまで直径2メートル前後。一枚皮の周囲に穴をあけ、調緒(しらべお)を通して両面から強く締める。左方用、右方用があり、火焔の中央から突き出た約240センチメートルの柄の先に、左方では金色の「日形(にちぎょう)」、右方では銀色の「月形(げつぎょう)」とよばれる数十本の棒の突き出た円板がつく。火焔の中には、連なる雲を背景に左方では昇竜、右方では鳳凰(ほうおう)が浮彫りされ、鼓面には左方では三巴(みつどもえ)、右方では二巴(ふたつどもえ)の模様が黒漆で描かれている。それぞれ、高欄を四方に巡らせた高さ1メートルほどの胴台にのせられ、奏者は太鼓の裏側に立ち、2本の桴(ばち)で打奏する。奏法は管絃(かんげん)の楽太鼓と同じ。数は少なく、奈良・春日(かすが)大社、大阪・四天王寺のものは重要文化財に指定されている。
[橋本曜子]
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大太鼓
だだいこ
日本楽器の一種。日本の雅楽の舞楽で用いられる超大型の膜鳴楽器。「火焔太鼓」ともいう。短胴型紐締め式太鼓としては世界最大で,大きな鉄製の輪に張った皮面の直径は 190cmにも及ぶ。円筒型の胴の両側から,2つの皮面を当て,皮面の円周部にあけた 16個の穴に長い締め緒を通して強く締める。この太鼓は高さ約 360cm,幅約 290cmの大きな火焔型の板の中央にあけられた丸い穴の中に吊される。舞台の向かって左側に置かれる左方太鼓と右側に置かれる右方太鼓とがあり,左方では左右に2匹の竜が飾られ,皮面に三つ巴が描かれ,右方では2羽の鳳凰が飾られ,皮面は二つ巴が描かれる。演奏には長さ約 40cmの2本の桴 (ばち) を用い,太鼓の台に足をかけた奏者によって打奏される。なお,管弦の演奏の場合は,この代りに直径 60cm,鋲打太鼓に火炎形の装飾をつけた中型の楽太鼓を中央に1つだけ置いて用いる。また,道楽には,前後2人の担ぎ手に運ばせて,歩きながら打つ直径約 1mの荷太鼓 (にないだいこ,にだいこ) を用いる。
大太鼓
おおだいこ
ビヤ樽形の木製の胴の両端に厚い皮を鋲止めにした大型の太鼓。胴はヒノキ,カシなどを用い,皮はウマの皮を用いる。胴の長さが皮面の直径より少し大きいが,特に一定の規格はない。 (1) 下座 (げざ) で用いるものは直径約 90cm,長さ約 105cmほどの大きさで,細桴 (ほそばち) ,太桴,竹桴を使い分けて,雨音,水音,風音,波音,雪音などを写実的に効果として奏するほか,演技に伴った様式的な打ち方がされている。 (2) 神社の祭礼にはやや小さいものが,祭太鼓や曳太鼓として用いられており,太く短い2本の桴で奏される。 (3) 民俗芸能では,特にアクロバット的に桴を扱って複雑なリズムを打つ「曲打 (きょくうち) 」が行われることが多く,非常な特色となっている。
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大太鼓
ビヤ樽形鋲打ち太鼓ともいう。歌舞伎囃子、宗教音楽、民俗音楽に幅広く使われている。大きさは、たとえば歌舞伎囃子用では鼓面の直径が90cmくらい。両手にバチを持って打つ。歌舞伎囃子ではバチを使い分けることで、波、風、雨、雪、雷などの効果音を奏したりもする。
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世界大百科事典(旧版)内の大太鼓の言及
【太鼓】より
…ただし,〈太鼓〉という言葉が指す楽器は,それを用いる種目ごとに,その特定のもののみを狭義にいう場合もあり,たとえば能においては猿楽太鼓(さるがくだいこ)ともいわれる締太鼓(しめだいこ)のことを,単に〈太鼓〉という。また,洋楽器のドラム類の訳語として〈太鼓〉の語を用い,バス・ドラム,ゴング・ドラムなどを〈大太鼓(おおだいこ)〉,サイド・ドラム,スネア・ドラム類を〈小太鼓(こだいこ)〉と称することもある。特殊な用例としては,幇間(ほうかん∥たいこもち)の別称として用いられたりするが,その語源は,定めがたい。…
【右舞】より
…また,舞台への登場は,むかって右手からが作法である。舞楽舞台の左右には〈大太鼓(だだいこ)〉を配するが,右方は二ッ巴で月輪をいただき,台座に緑色布をめぐらす。前述のように,右舞に属する曲は原則的には高麗楽を伴奏とするが,唐楽を伴奏とする右方の舞が若干ある。…
【雅楽】より
…神道系祭式芸能(大和歌を除く)では[和琴](わごん)が用いられる。〈打ちもの〉には鼓類,鉦鼓類,太鼓類の3種があり,鼓類に[羯鼓](かつこ)(唐楽の新楽で用いる),[壱鼓](唐楽の古楽などで用いる),[三ノ鼓](高麗楽),鉦鼓類に釣鉦鼓(管絃),大鉦鼓(舞楽),太鼓類に楽太鼓(がくだいこ)(管絃),大太鼓(だだいこ)(舞楽)の別がある。大太鼓はまた特に壮麗な火焰飾をもつことから,火焰太鼓ともよばれる。…
【太鼓】より
…ただし,〈太鼓〉という言葉が指す楽器は,それを用いる種目ごとに,その特定のもののみを狭義にいう場合もあり,たとえば能においては猿楽太鼓(さるがくだいこ)ともいわれる締太鼓(しめだいこ)のことを,単に〈太鼓〉という。また,洋楽器のドラム類の訳語として〈太鼓〉の語を用い,バス・ドラム,ゴング・ドラムなどを〈大太鼓(おおだいこ)〉,サイド・ドラム,スネア・ドラム類を〈小太鼓(こだいこ)〉と称することもある。特殊な用例としては,幇間(ほうかん∥たいこもち)の別称として用いられたりするが,その語源は,定めがたい。…
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