黒御簾(読み)くろみす

日本大百科全書(ニッポニカ)「黒御簾」の解説

黒御簾
くろみす

歌舞伎(かぶき)舞台用語。下座(げざ)音楽を演奏する場所。江戸では文政(ぶんせい)年間(1818~30)まで舞台の上手(かみて)奥に設けられていたが、のち現在のように下手(しもて)に移された。下手の大臣柱(だいじんばしら)の左方に、高さ6尺(約1.8メートル)の黒塗りの板羽目を立て、これに窓が設けてある。その窓には縦の桟の後ろに黒い簾(すだれ)を下げ、客席から中が見えないようにしてある。現代では、その前面にも道具を飾って目だたないようにすることが多いが、本来は黒御簾の前に道具を飾ることはしなかった。

服部幸雄

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精選版 日本国語大辞典「黒御簾」の解説

くろ‐みす【黒御簾】

〘名〙 (舞台との間に黒い御簾を下げたところから) 歌舞伎舞台の下手(しもて)の一隅で下座音楽を演奏する所。江戸では文政(一八一八‐三〇)ごろまで上手(かみて)にあり、その後下手になった。
※歌舞伎・処女評判善悪鏡(白浪五人女)(1865)五幕「いつもの所門口、下手黒簾(クロミス)の所路地口」

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デジタル大辞泉「黒御簾」の解説

くろ‐みす【黒×簾】

歌舞伎の舞台で、下座音楽を演奏する場所。江戸では文政(1818~1830)ごろまで上手(かみて)にあり、のち下手(しもて)になった。中の演奏者が客席から見えないように黒いすだれを下げるのでいう。

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世界大百科事典内の黒御簾の言及

【歌舞伎】より


[音楽性]
 歌舞伎における音楽の重要性は,前記のごとくせりふもその意図のために用いる例があるが,楽器や道具を使って奏する伴奏,効果の音楽は大別して3種類になる。第1は,舞台下手(古くは上手)の〈黒御簾(くろみす)〉の中で演奏する〈下座音楽〉であり,これは観客からは見えない。下座は,唄,三味線,鳴物の3種によって構成されている。…

【下座音楽】より

…歌舞伎の演出に,効果,修飾,背景,伴奏音楽として,原則として舞台下手の板囲いをし上部の窓に黒いすだれをさげた〈黒御簾(くろみす)〉で演奏される歌舞伎囃子の通称。〈黒御簾音楽〉〈陰囃子〉(略して〈黒御簾〉〈陰〉とも)などの別称がある。…

※「黒御簾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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