東アジアの山岳地帯にすむジャコウジカの包皮腺のことである。包皮腺とは陰茎の先端を包む皮膚の鞘に発達する皮膚腺の特殊化したもののことであるが,ジャコウジカでは香料の材料として知られる麝香muskをつくることからこのように呼ばれる。麝香腺の分泌機能は繁殖期に特に活発となり,またにおいも強くなることから,分泌物は雌を引きつけるフェロモンとして機能していると考えられている。なお包皮腺の相同器官である雌の陰核腺は分泌物が麝香として利用されていないので麝香腺とは呼ばれていない。ジャコウネコにも,強い臭気を発する液すなわち麝猫香(じやびようこう)civetを分泌する腺が雌雄ともにあり,麝香腺とも呼ばれる。麝香の名のつく哺乳類には他にジャコウネズミとジャコウウシがあり,これらも臭気を発する腺をもっているが,麝香腺とは呼ばれていない。
執筆者:佐藤 英明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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