麝香(読み)じゃこう(英語表記)musk

翻訳|musk

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

麝香
じゃこう
musk

ヒマラヤ山脈,中国北部の高原地帯に生息するジャコウジカ (あるいはジャコウネコ) の雄の生殖腺分泌体。包皮小嚢状の腺嚢を乾燥した暗褐色粒状物に約1~2%程度含有される。高価な動物性香料。アルコール抽出によりムスクチンキとして高価な幻想香水だけに利用される。近年,希少動物保護の立場から香科用目的の捕獲は制限されており,ほとんど同一の香気を有する合成香料で代用される。芳香成分はムスコン C16H30O である。

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百科事典マイペディアの解説

麝香【じゃこう】

ムスクとも。ジャコウジカの雄の嚢状の包皮腺分泌物を乾燥した黒褐色の粉末。古来香料,医薬として珍重。雄1頭から約50gが得られる。芳香成分としてムスコンを0.5〜2%含む。ムスコンは化学式C16H3(/0)Oで,大環状ケトン構造をもつ無色の油状液体。現在では麝香類以物質が合成されている。
→関連項目奇応丸香料ジャコウウシ生薬人造麝香反魂丹竜涎香六神丸

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世界大百科事典 第2版の解説

じゃこう【麝香 musk】

ムスクともいう。中央アジア,チベット,雲南,アッサム,南シベリアに広く生息するジャコウジカの雄の包皮腺(香囊)に蓄積される有香物質。古来代表的動物性香料として珍重された。10歳程度の雄1匹から約50gの麝香が得られる。チベット産の麝香が品質的に最も優れており,トンキン(東京)市場で取引されるため東京麝香として知られている。雲南麝香も有名である。乾燥した香囊中には暗褐色ないし黒褐色の粉末として存在する。

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大辞林 第三版の解説

じゃこう【麝香】

ジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を乾燥したもの。紫褐色を帯びた粉末で、特異な香気がある。香料とするほか、漢方で強心・鎮痙・解毒薬などに用いられるが、ワシントン条約による規制をうける。また、広義には、麝香と同種の香気を示す物質を指す。ムスク。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ざ‐こう ‥カウ【麝香】

〘名〙 麝香鹿(じゃこうじか)の麝香嚢から作った香料。じゃこう。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「いろいろの香(かう)は、色をつくして、ざかう・ぢん・丁字」

じゃ‐こう ‥カウ【麝香】

〘名〙
① ジャコウジカの雄の下腹部にある鶏卵大の包皮腺(香嚢)から得られる香料。紫褐色の顆粒で芳香がきわめて強く、強心剤気つけ薬など種々の薬料としても用いられる。四味臭(しみしゅう)。じゃ。紫麝。麝香のへそ。ざこう。
※大安寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「合麝香壱斉又壱筒」
※今昔(1120頃か)二七「麝香の香に染返たり」 〔王建‐宮詞一百首・一六〕
② 「じゃこうじか(麝香鹿)」の略。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔後漢書‐西南夷伝〕
※蔭凉軒日録‐永享八年(1436)五月三〇日「毛益麝香絵四幅、海門和尚私被進上
[補注]①は、中国で古くから医薬、仙薬として用いられ、日本にも早くに伝わった。

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