麻薬二法(読み)まやくにほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「麻薬二法」の意味・わかりやすい解説

麻薬二法
まやくにほう

「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(麻薬特例法。平成3年法律第94号)と「麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律」(改正法。平成3年法律第93号)をさす。

 国際的に広がる麻薬や向精神薬の不正取引を防止するため、麻薬新条約批准に伴って制定された。1992年(平成4)7月の施行。麻薬や向精神薬の原材料物に関する規制が強化され、麻薬特例法では、麻薬などの運び屋などを水際で摘発せず、泳がせて犯人グループの一網打尽を目ざすコントロールド・デリバリーとよばれる捜査の新手法も導入された。

 また、麻薬などで得た収益を隠すマネー・ロンダリング資金洗浄)などの処罰規定が設けられ、資金洗浄が疑わしい取引の、金融機関による届出制度も始まった。なお、この届出制度は、2000年施行の組織的犯罪処罰法にも導入され、薬物犯罪以外の犯罪による収益にも対象が拡大された。

[福井仁法]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例