黒土地帯文化(読み)こくどちたいぶんか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒土地帯文化」の意味・わかりやすい解説

黒土地帯文化
こくどちたいぶんか

世界の穀倉地帯といわれるロシア南部の平原を中心に継起した先史農耕文化。新石器時代の後半,前2000年頃をみると,セレト川,ドネストル川流域にはトリポリエB2文化(→トリポリエ文化)があり,ドネプル川下流域にはセレドニ・ストグ文化が存在し,その東方のドン川流域にいたるまではヤムナヤ文化が広がっていた。セレドニ・ストグ文化の後半は,初期金属器時代にあたり,またウシヒツジヤギ,ブタの家畜を飼い,掘っ立て小屋風の家屋で生活していた。ヤムナヤ文化もウシ,ヒツジの牧畜民で,牛車をもって移動し,また墳丘墓を築造した。次いで,青銅器時代前半の前1700年頃,ドナウ川やドネストル川下流域にはウサトボ文化,その中流域にはトリポリエC1文化,そしてその東方のドネプル川からドン川にいたる地域にはカタコンベ文化が,それぞれ展開した。ウサトボ文化は,環状列石をもつ墳丘墓を築き,ヒツジを主要な家畜とする牧畜民であった。青銅製の短剣や安全ピンを所有していた。カタコンベ文化もヒツジ,ウシの牧畜民で,独特な地下式土壙墓をもち,石製闘斧,矢柄研磨器,石鏃のほか青銅製ナイフ,短剣,垂飾,ハンマー状頭部安全ピンなどを使用していた。

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