ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドネプル川」の意味・わかりやすい解説
ドネプル川
ドネプルがわ
reka Dnepr
モスクワの西方約 240kmにあるバルダイ丘陵南部の標高 220mの泥炭地に源を発し,ロシア西部を南流,西流したのち,ベラルーシ東部を南流してウクライナに入り,南東,南,南西へ向きを変えてヘルソンで黒海のドネプル湾に注ぐ。上流部は森林地帯を,中流部は森林ステップを,下流部はステップ地帯を流れる。上流部は蛇行が著しく,多くの砂堆,湿地,三日月湖をつくる。中流部は右岸が高く(80m),左岸が低地という対照的な景観を呈する。下流部のザポリージャ(ザポロージエ)付近は急流や岩礁のため航行の難所として恐れられていたが,カホウカ人造湖の完成により安全となった。上~中流部では 11月下旬~4月初旬,下流部では 12月中旬~3月初旬に結氷する。ロシアのスモレンスク上流のドロゴブージまで航行可能。おもな支流は,右岸のプリピャチ川,ベレジナ川,左岸のソジ川,デスナ川。
古くからバルト海と黒海を結ぶ貿易路をなしていた。水上交通の大動脈であり,運河によりベレジナ川が西ドビナ川水系と,プリピャチ川がブーグ川を経てウィスワ川水系と結ばれ,バルト海と連絡している。また,発電と灌漑の面でも重要な役割を果たし,ウクライナのカホウカ,ザポリージャ,カーミヤンシケ,クレメンチュク,キーウ(キエフ)に水力発電所とダム,貯水池があり,ドニプロ=クリビーイリーフ運河,北クルイム運河が川の水を分水している。
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