トリポリエ文化(読み)とりぽりえぶんか(英語表記)Toripol'e

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリポリエ文化」の意味・わかりやすい解説

トリポリエ文化
とりぽりえぶんか
Toripol'e

ヨーロッパの新石器(農耕)文化の一つ。紀元前四千年紀ごろウクライナ西部からルーマニア東部にかけて広まった。ルーマニアを中心とするククテニ文化との関連が強い。A~Cの3期に区分される。小麦、大麦、ライ麦をつくり、ウシブタヒツジ飼育した。狩猟も広く行われ、オオジカアカシカイノシシ、ガンなどを狩った。地母神像と考えられる女性土偶がしばしば製作された。大きな腹、臀(しり)、小さな乳房、扁平な頭部などに特色がある。土器は赤、白、黒色で彩色し、曲線や幾何学文が描かれる。集落は堀を巡らし、多くの長方形家屋円形に並んでいることが多い。中央に多数の部屋をもつ大型家屋が置かれることもある。

[鈴木忠司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリポリエ文化」の意味・わかりやすい解説

トリポリエ文化
トリポリエぶんか
Tripolye culture

ウクライナ地方の新石器文化。ルーマニアのククテニ文化と近い関係にあるため,しばしばククテニ・トリポリエ文化と呼ばれる。標準遺跡はウクライナにある同名の遺跡。幾何学文,渦巻文を特徴とする彩文土器が出土する。トリポリエ文化はA,B,Cの3期に細分されている。集落址として調査されることが多い。住居は木材などを利用して造られた長方形のものであり,主要な生業は麦類を耕作する農耕であり,羊の飼育も行われていた。

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