黒坂寺跡(読み)こくはんじあと

日本歴史地名大系 「黒坂寺跡」の解説

黒坂寺跡
こくはんじあと

[現在地名]菱刈町前目

前目まえめの字下名しもんめにあった。吉祥山妙蓮院と号し、真言宗。黒板寺とも記される(菱刈史)本尊毘沙門天縁起によれば建久六年(一一九五)源頼朝が父義朝の菩提を弔うため一国一寺を創建した際、大隅国の一寺として建てられたと伝える。開山は観禅。支坊一二と多くの寺領をもつ天台宗の大寺院であったという(三国名勝図会)。元久二年(一二〇五)七月の僧相印譲状写(玉里文庫)によれば、大隅国菱刈郡内黒坂寺(本堂観音堂、千体阿弥陀堂)は相印先祖相伝の私領菱刈郡内に建てられた氏寺で一家をあげて信仰する寺であった。そこで現当の祈りを専らにし、かつ故将軍源頼朝の菩提を弔うためなどにより、寺・敷地・浮免田畠を証文などを添えて甥の僧禅興に譲与するとある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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