黒日売(読み)くろひめ

朝日日本歴史人物事典 「黒日売」の解説

黒日売

古事記』にみえる吉備海部直の娘。名は髪の美しい女性という意味か。容姿端麗なために仁徳天皇が召し使っていたが,大后の石之日売(葛城磐之媛)の嫉妬を恐れて吉備(岡山県)に帰郷する。天皇高台から,去りゆく黒日売の船を望見して歌を詠んだところ,大后は怒り,日売を下船させて徒歩で帰らせた。のち天皇は大后を欺いて淡路島から島伝いに吉備へ行幸した。黒日売は菘菜を摘み,羹に煮て献上し,天皇もともに菜摘みを楽しんだという。やがて都へ帰る天皇に,別離慕情をこめて次のような歌を献じた。「倭方に/西風吹き上げて/雲離れ/退き居りとも/我忘れめや」

(寺田恵子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「黒日売」の解説

黒日売 くろひめ

「古事記」にみえる女性。
吉備海部直(きびあまあたい)の娘。仁徳(にんとく)天皇に愛されたが,皇后の石之日売命(いわのひめのみこと)(磐之媛命)の嫉妬(しっと)がはげしいため,郷里の吉備へにげかえる。天皇はそのあとを追って吉備へ行幸し,黒日売にあって歌をよみかわしたという。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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