黒本青本(読み)くろほんあおほん

改訂新版 世界大百科事典 「黒本青本」の意味・わかりやすい解説

黒本・青本 (くろほんあおほん)

江戸で刊行された初期草双紙の一類。赤本に次いで現れ,体裁もほぼ踏襲している。中本型5丁が定型で毎丁に挿絵,その余白に平仮名本文を記す。上下または上中下,まれに5~10冊で1編を構成する。黒本は黒色表紙,青本はおそらく萌黄色退色の藁色表紙で,意匠のやや進んだ絵題簽(だいせん)を貼付する。内容は2者ほとんど同じで,浄瑠璃の絵解き,英雄一代記,化物話,異類談等,ときに当世風用語も交える。同一作品で両様の体裁もある。黒本の発生がやや古いようで,1744年(延享1)刊と考証される《丹波爺打(ててうち)栗》などが古い一例。一般に演劇の影響が著しく,上演との関係が考えられる。初期作品は画工名のみで鳥居派の浮世絵師が制作,安永期(1772-81)には富川房信が活躍,後代には丈阿,和祥,桂子等の作者が現れる。宝暦(1751-64)ころから創作意識が進み,現実性も増して,明和(1764-72)末に黄表紙的傾向を見せ,やがて安永期に黄表紙へ作風体裁が移る。
草双紙
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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