鼠算(読み)ネズミザン

デジタル大辞泉 「鼠算」の意味・読み・例文・類語

ねずみ‐ざん【×鼠算】

和算の計算問題の一。正月雌雄2匹のネズミが12匹の子を産み、2月にはその親子のネズミ七つがいがそれぞれ12匹の子を産み、毎月このようにネズミが増えていくと12月には何匹になるかという問題で、2×712すなわち276億8257万4402匹になる。鼠の子算用。
急激にふえていくことのたとえ。「鼠算式に増える」

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精選版 日本国語大辞典 「鼠算」の意味・読み・例文・類語

ねずみ‐ざん【鼠算】

  1. 〘 名詞 〙 和算で、鼠が親子ともに一定期間を置いてどんどん繁殖することを例として作った等比級数的にふえていく計算問題。また、そのように数値が急速に増していくことのたとえ。鼠勘定。鼠算用
    1. [初出の実例]「鼠算の事、正月に鼠、父母出でて、子を十二疋生む、親共に十四疋に成る也。此鼠三月には、子も又子を十二疋づつ生む故に、親共に九十八疋に成る。此くの如く月に一度づつ、親も子も孫も曾孫も月月に十二疋づつ生む時、十二月の間に〈略〉二百七拾六億八千二百五十七万四千四百二疋に成る也」(出典:塵劫記(1627)下)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鼠算」の意味・わかりやすい解説

ねずみ算
ねずみざん

ものが等比数列をなして急激に増加することのたとえで、次のような和算で取り上げられた有名な問題がその起源である。すなわち、吉田光由(みつよし)が1627年(寛永4)に刊行した『塵劫記(じんごうき)』という和算の書物の第36に次のような問題がある。「正月に雌雄のねずみが、12匹の子を産む(原本には断りはないが、産まれるのは雌雄同数であるとする)。雌雄は計七つがいになるが、2月にはまた各つがいがそれぞれ12匹の子を産む。ねずみの総数は98匹になる。このようにして、毎月一度ずつ、どの世代のねずみも雌雄一つがいで12匹ずつ雌雄同数の子を産むとすると、12月には何匹になるか」。

 毎月のねずみの数は、前月のねずみの数(親の数)に前月のねずみの数の半分(つがいの数)の12倍、すなわち6倍を加えたもので、したがって前月のねずみの数の7倍になる。それゆえ、12月のねずみの数は二匹に七を12回掛けた数、すなわち276億8257万4402匹になる。公比が一より大きい等比数列の各項の増え方は、等差数列に比べて急激であり、意外の感がもたれる。ねずみ算が有名になったのも、また急激な増え方のたとえとしてこの語が用いられるのも、この理由からであろう。

島田 茂]

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世界大百科事典(旧版)内の鼠算の言及

【算術】より

… 次に和算などがとり上げた問題で,上記の意味の算術と考えられるものを補う。
[ねずみ算]
 《塵劫記》(1627)は次の内容を扱っている。1組のねずみの夫婦から出発して,毎月1回雌雄6匹ずつのねずみを生み,子ねずみも同様にねずみを生むとすれば,12ヵ月後には何匹になるか。…

※「鼠算」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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