コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

塵劫記 じんこうき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

塵劫記
じんこうき

江戸時代初期の通俗算学書。吉田光由 (1598~1672) が著わし,寛永4 (27) 年に刊行した。当時の和算書としては,著者不明の『算用記』 (10頃) と毛利重能の『割算書』 (22) に次ぐものであった。光由は,都二条にあった毛利の家塾に学んだが,それにあきたらず,宗家の角倉素庵 (1571~1632) に教えられて『算法統宗』を習った人で,『劫記』は,当時としては最高の内容を平易に説明した入門書であった。光由はさらに寛永 18 (41) 年に,そろばんを利用した算法の説明などにも工夫をこらした新編『塵劫記』 (小型3巻本) を出版し,その下巻の巻末に遺題 12問を提出した (→遺題継承 ) 。『塵劫記』は実用書として歓迎され版を重ねるとともに,「…塵劫記」と称する通俗算書が,江戸時代から明治前期までに 400~500種は出版された。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

じんこうき〔ヂンコフキ〕【塵劫記】

江戸前期の和算書。吉田光由著。寛永4年(1627)刊。中国の「算法統宗」を手本として、計量法・計算法などをわかりやすく説明したもの。のちには算術書の代名詞ともなった。

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

塵劫記【じんこうき】

吉田光由が著した数学書。1627年初版,4巻。まず大小の数や計量単位の名称をあげ,そろばんによる乗除法を図解し,次いで米・布の売買,貨幣の両替,利子の計算,土地の面積,器物の体積,土木工事に関する計算など,日常生活に必要な諸計算を懇切に説明。
→関連項目九九算法統宗算盤和算

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

じんごうき【塵劫記】

江戸初期の数学書。著者吉田光由(みつよし)は豪商角倉家の一員である。吉田は,中国の《算法統宗》を一族の角倉素庵から教わり,これを手本としてまとめたのが《塵劫記》(1627初版)である。《算用記》《割算書》の影響もないではないが,懇切ていねいに説明された絵入り教科書は爆発的な売行きを示し,著者の没後も続けてベストセラーとなり,江戸時代を通してもっとも読まれた本の一つとなった。多くの学者が幼少時に勉強した本の中に《塵劫記》を入れている。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

じんこうき【塵劫記】

江戸時代の数学書。吉田光由著。1627年刊。入門的・実用的な書。算盤そろばん・乗法・除法その他をわかりやすく説明、和算を発展させるとともに庶民に数学を普及する上で大きな役割を果たした。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

塵劫記
じんごうき

江戸初期の数学書。吉田光由(みつよし)の著。「じんこうき」とも読む。「塵劫」は仏教のことばで、計り知れないほどの長年月であることをいう。「塵劫記」は長年月たっても変わらない真理の書という意味を込めている。1627年(寛永4)初版が出版された。これを記念して1977年(昭和52)京都・嵯峨(さが)の常寂光寺(じょうじゃっこうじ)に記念碑が建てられた。この書の初版は美濃(みの)版4巻、その内容は、大数(大きい整数)の名、小数の名から始まって、八算(はっさん)(1桁(けた)の割り算)、見一(けんいち)(2桁以上の割り算)、米の売買、金銀両替、銭売買、利息のこと、枡(ます)の法、検地、租税、川普請(ふしん)のことなど、日常に入用な計算を収録している。その翌年ごろ第5巻が出版された。大きな数の計算、数学遊戯などを載せたもので、これがのちには『塵劫記』の特徴となった。1631年に、この五巻本が整理されて美濃版三巻本となった。34年には美濃半裁の小型本4巻が出版された。これは従来の版とはまったく異なったものである。続いて41年には美濃半裁の小型三巻本が出版された。この版は、大きな数の計算が非常に多いのが特徴である。そして、この版には3巻末に、答えをつけない12題の問題(いわゆる遺題)を載せている。これが元になって日本の数学は飛躍的に進歩した。ついで43年美濃版三巻本が出版された。これは従来の版を総合したもので、以後この版が『塵劫記』の定本とされるに至った。その後『塵劫記』の類版は引き続き刊行され、明治の末に至っている。[大矢真一]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の塵劫記の言及

【遺題継承】より

…遺題承継とも。1627年(寛永4)初版の《塵劫記》はベストセラーとなり,何回も改版された。41年に小型3巻本に改版したとき,著者の吉田光由はこの書の巻末に12問の難問を掲載し,世間の数学者に挑戦した。…

【改算記】より

…出版年は不明であるが,今日伝わる書は1659年(万治2)が初版と思われる。吉田光由が《塵劫記(じんごうき)》(1627)を著作して,初歩から中級程度の入門書として広く読まれたが,《改算記》は《塵劫記》の次にベストセラーとなり,幕末まで愛読された。“塵劫”が数学あるいは珠算の意味に用いられるようになったのに対し,《改算記》はそこまではいかなくとも,《改算塵劫記》のような書名が現れるほどによく知られていた。…

【数学パズル】より

…最古の数学パズル書と見られる,バシェ著の《愉快で楽しい問題》には多くの代数パズルがあり,その中には百五減算の原形である六十減算や油分け算も含まれている。百五減算は吉田光由の《塵劫記》下巻(1631),中根彦循の《勘者御伽双紙》上巻にも紹介されており,相手の年齢を当てるパズルである。今,相手の年齢を3,5,7で割ったときの余りを尋ね,その返事がa,b,cであったとする。…

【和算】より

…明治以前の日本人が研究した数学。研究者により,その初めを,(1)上古,(2)1627年(寛永4)刊の吉田光由著《塵劫記(じんごうき)》,(3)74年刊の関孝和著《発微算法(はつびさんぽう)》とする3通りがある。
[奈良・平安時代]
 養老令(718)によれば,官吏養成のための学校である大学寮を設置し,現在の中学生くらいの少年がここで勉強した。…

※「塵劫記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

塵劫記の関連キーワード那由他・那由多華街桜山人久留島義太今村知商礒村吉徳不可思議継子立て橋本正数藤田貞資長谷川寛福田理軒榎並和澄新井玩三無量大数薬師算阿僧祇程大位竪亥録継子立恒河沙

今日のキーワード

処暑

二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の7月中 (7月後半) のことで,太陽の黄経が 150°に達した日 (太陽暦の8月 23日か 24日) に始り,白露 (9月8日か9日) の前日までの約 15日間であ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

塵劫記の関連情報