知恵蔵 「5界説」の解説 5界説 すべての生物を5つの界に分ける考え方。従来すべての生物は動物界と植物界に大別され、微生物や菌類も植物界に含まれてきたが、これらの生物の細胞の形態や機能には高等植物とは根本的な違いがあり、また一部の単細胞藻類や原生動物が動物界と植物界の両方に含まれるという矛盾もあった。そこで、R.H.ホイッタカーは、原核生物(モネラ)界、原生生物(プロチスタ)界、菌界の3つのグループを新たに設ける5界説を唱えた。その後、L.マーギュリスらによって改変され、5界の進化的な関係も明らかにされるに及んで、現在ではほぼ定説となった。菌界にはカビ、キノコなどの真菌類、原生生物界には従来の原生動物および藻類、酵母、粘菌など、原核生物界には細菌とシアノバクテリアが含まれる。なお近年、リボソーム小サブユニットRNA遺伝子の違いに基づいて、全生物界を古細菌、真正細菌、真核生物に大別する3ドメイン説が提唱され、広く認められている。 (垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by