基準値
40~100mg/dℓ
HDLコレステロールとは
コレステロールやトリグリセリド(次項 →参照)などの脂質は血液には溶けない。このため、アポ蛋白という蛋白と結合し、血液に溶ける形になって全身に流れていく。これをリポ蛋白と呼び、比重の違いからカイロミクロン、VLDL、LDL(低比重リポ蛋白)、HDL(高比重リポ蛋白)の4つに大別できる。このうちのHDLに含まれるコレステロールをHDLコレステロールという。
HDLが減少すると、コレステロールが肝臓に運ばれず、動脈硬化の原因に
血液中の脂質の量を調べる検査です。ほかの脂質と異なり、低値の場合が要注意です。女性は男性に比べて高値です。
低値が続くと動脈硬化に
前項のLDLコレステロール(→参照)と同様、HDLコレステロールも動脈硬化をチェックする重要な検査です。
HDLは、末梢組織にあるコレステロールを肝臓に運搬する働きをしているため、HDL中のコレステロールが多い場合は末梢組織のコレスロールが少なくなり、逆に少ない場合はコレステロールが十分に肝臓に運ばれずに末梢組織に残り、動脈硬化をおこします。
HDL中のコレステロールが40mg/dℓ未満になると動脈硬化になりやすくなり、冠動脈疾患(狭心症、急性心筋
一方、高値の場合は動脈硬化になりにくく、長生きの人には80mg/dℓ以上が多いといわれ、これを長寿症候群といいます。
女性は男性より高値
検査は直接法で行います。女性は男性に比べて高値で、これは女性ホルモンがHDLコレステロールを上昇させるためと考えられています。
HDLコレステロールは、喫煙や肥満、運動不足などでも低下します。また食事や飲酒の影響を受けるため、検査前12時間以上は絶食、禁酒・禁煙します。検査前日の夕食は高脂肪食や高カロリー食を控えめにしてください。
低値でも総コレステロールが低値なら問題ない
HDLコレステロールの基準値は40~100mg/dℓで、下限値は病態識別値(動脈硬化性疾患)です。HDLコレステロールが40mg/dℓ未満を低HDLコレステロール血症といいます。
HDLコレステロールは総コレステロール(→参照)と関係しており、HDLコレステロールが低値でも総コレステロールが低値であれば、とくに問題になりません。逆に、HDLコレステロールが高値でも総コレステロールが極めて高値の場合は運動や食事(コレステロールや脂肪のとり過ぎなど)で改善することが必要です。
また、総コレステロールを下げる目的で服用する薬剤の中にはHDLコレステロールも低くするものがあります。これでは動脈硬化の予防には十分ではないため、医師に薬剤の効用を確かめることが肝要です。
■HDLコレステロール値と冠動脈疾患合併率
(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」より)
疑われるおもな病気などは
◆高値→長寿症候群、薬剤(クロフィブレート、HMG-CoA還元酵素阻害剤)の影響、CETP欠損症など
◆低値→動脈硬化、LCAT欠損症、糖尿病、肝硬変、腎透析など
医師が使う一般用語
「エッチディーエル」もしくは「エッチディーエルコレステロール」
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報
コレステロールのうち、高密度リポタンパク質に含有されるものをいう。正式名称は高密度リポタンパク質コレステロールで、英語名称high-density lipoprotein cholesterolの頭文字をとりHDLコレステロール、HDL-Cと略称することが多い。コレステロールは血液中では脂質とタンパク質の集合体であるリポタンパク質の形で存在し、HDLは体内の余分なコレステロールを回収して肝臓へ運ぶ役割を担っている。同時に血管壁に沈着して蓄積したコレステロールを取り除いて動脈硬化を防ぐ働きをすることから善玉コレステロールとよばれることがある。これに対し、血管壁に沈着しやすく動脈硬化の原因となるLDLコレステロールを悪玉コレステロールとよぶこともある。
[編集部 2017年4月18日]
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