Lisp(読み)りすぷ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「Lisp」の意味・わかりやすい解説

Lisp
りすぷ

マサチューセッツ工科大学MIT)で開発された人工知能AI)用のプログラミング言語。list processorの略。1980年代にはLispを高速処理するLispマシンも開発された。プログラム自身とプログラムの扱うデータがどちらも同じリストとよばれる構造であるのが特徴。そのため、自動プログラミングなどの、プログラムをデータとして操作するプログラムが書ける。なお、Prolog(プロログ)もこれと同様の能力をもっている。

 LispはさまざまなAIシステムの構築に用いられたほか、他のAI言語をLisp上につくる(つまり、その言語の処理系をLispで書く)のにも使われた。初期の例としては、マサチューセッツ工科大学(MIT)における、カール・ヒューイットCarl HewittによるPLANNERや、それを発展させたジェリー・サスマンGerald Jay Sussman(1947― )によるCONNIVERといったAI用言語が、Lisp上につくられたことがあげられる。PrologをLisp上に実装した例もいくつかあり、日本では中島秀之(1952― )によるProlog/KRがそれにあたる。Lisp上に他のプログラミング言語を実装すると高速の処理は望めないため実用性には乏しいが、言語仕様を容易に拡張できるため、研究目的で多用された。

[中島秀之 2019年9月17日]

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「Lisp」の解説

Lisp

1962年、米マサチューセッツ工科大学のJohn McCarthy氏が開発した[[プログラミング言語。すでに定義されている関数を組み合わせて新しい関数を作る関数型言語で、人工知能の開発に適しているといわれている。データ操作命令の並び(リスト)を処理するリスト処理や型宣言が不要などの特徴を持つ。1984年、Lispの標準仕様であるCommon Lispが策定された。

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世界大百科事典(旧版)内のLispの言及

【言語処理系】より

…作業結果は,出来上がるスパゲッティである。 コンパイラー方式の代表的な言語にC,Ada,インタプリター方式の代表的な言語にBasic,Lisp,中間言語方式の代表的言語にJava,Smalltalkがある。プログラムの実行速度はインタプリター方式の場合,コンパイラー方式に比べ,かなり低速となる。…

※「Lisp」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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