知恵蔵 「OpenID」の解説
OpenID
同様のサービスにマイクロソフトのMicrosoft Passportがあるが、Passportではアカウントの情報やログイン処理(ID認証)をマイクロソフトが独占的に管理するのに対し、OpenIDでは利用者が選択した事業者が情報の管理や認証を行うため、特定の事業者やサーバーにOpenIDの情報や認証が集中することはない。
OpenID対応のサービスには、そのサービスのユーザーIDとパスワードで他のOpenID対応サービスにもログインできるようにするID発行者の立場と、他の事業者(ID発行者)のOpenIDでも自社のサービスにログイン可能とする受け入れ側の立場の2面がある。OpenIDを提供するが他のサービスのOpenIDは受け入れない、特定サービスの提供するOpenIDのみ受け入れるなど、サイトごとに対応の度合いが異なる点に注意が必要だ。たとえば、ヤフー!ジャパンのYahoo! JAPAN IDやグーグルのGmailアカウントはOpenIDとして利用可能だが、現在は両者ともID提供者としてのみの対応で、受け入れ側にはなっていない。つまり、ヤフー!ジャパンやGmailには、それぞれのユーザーIDとアカウントでないとログインできず、Yahoo! JAPAN IDでGmailを使ったりはできないということである。
一方、外部のOpenIDを受け入れるサービスが自社でも固有のユーザーIDとパスワードを発行している場合、そのサイトのログイン画面で入力するのはサイト固有のIDとパスワードであり、外部のOpenIDを利用する際には別途、各自のOpenID発行者のサイトでログイン操作をする必要がある。勘違いして、サービスAのログイン画面でサービスBのユーザーIDとパスワードを入力してしまうと、サービスAが悪意のあるサイトなら、情報が盗まれてしまう危険がある。
(斎藤幾郎 ライター / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報