Tangier病

内科学 第10版 「Tangier病」の解説

Tangier病(代謝性ポリニューロパチー)

(3)Tangier病
 米国バージニア州のTangier島で発見されたことから,この名がある.常染色体劣性遺伝する.ATP-結合カセットトランスポーター1の遺伝子異常により,脂質の移動が減少し,エステル型コレステロールが蓄積し,HDLが欠損する.血漿トリグリセリドは正常値で,HDL欠損があり,しかも扁桃肥大橙黄色着色があれば,本症を疑う.脾腫角膜混濁もみられる.HDL欠損があるにもかかわらず,動脈硬化が早期から進行することはない.Tangier病でみられるポリニューロパチーには3形式あり,Ⅰ型は一過性,あるいは再発性の非対称性のポリニューロパチー,Ⅱ型は緩徐進行性で,対称性のポリニューロパチーで下肢が最も強く傷害され,Ⅲ型は緩徐進行性で対称性であるが,脊髄空洞症様の症状を伴うことを特徴とする.特別な治療法はない.[芳川浩男]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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