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脂質異常症 ししついじょうしょう

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知恵蔵2015の解説

脂質異常症

血液中に含まれる脂肪の量が、多すぎる、あるいは少なすぎるといった異常を示す病気。無症状のまま進行し、動脈硬化が起こって心筋梗塞や脳梗塞をきたすことがある。2007年以前は、高脂血症と呼ばれていた。主な原因は、食生活、喫煙、運動不足などの生活習慣にある。厚生労働省は、生活習慣病の一つとし、特定健康診断に脂質検査を設けてLDLコレステロールHDLコレステロール中性脂肪を必須項目にするなどの施策を展開しているが、2010年に実施された国の調査では脂質異常症が疑われる人は男性の22.3%、女性の17.7%に上っており、なお増加傾向にある。
血液中にどの脂肪が多い(少ない)かによって、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド血症の3つのタイプに分けられる。診断基準は、空腹時の採血で、LDLコレステロール値140mg/dL以上が高LDLコレステロール血症、HDLコレステロール値40mg/dL未満は低HDLコレステロール血症、トリグリセリド150mg/dL以上は高トリグリセリド血症とされている。
LDLコレステロールは血管内皮に付着しやすい性質があり、HDLコレステロールは血液中のコレステロールを回収して肝臓に戻す働きを持つ。トリグリセリドは中性脂肪の一種で内臓脂肪として蓄えられやすい。また、トリグリセリドが増えると、LDLコレステロールが増え、HDLコレステロールが減るため、結果的に動脈硬化を助長することになる。
治療は、禁煙、食生活の改善、適正体重の維持と運動量の増加を柱とする生活習慣改善から始める。一定期間を経て効果がみられなかった場合に投薬が検討される。なお、先天的代謝異常などに起因する家族性脂質異常症の場合は、生活習慣改善での効果が期待できないため最初から薬物療法を行うことになる。

(石川れい子  ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ししついじょう‐しょう〔シシツイジヤウシヤウ〕【脂質異常症】

血液中のコレステロール中性脂肪など脂質の値に異常がある状態。以前は「高脂血症」とよばれていた。この状態を放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞脳梗塞などさまざまな生活習慣病の危険性が高まる。日本動脈硬化学会が平成19年(2007)に発表した指針では、血清1デシリットル中、中性脂肪が150ミリグラム以上、LDLコレステロール(悪玉)が140ミリグラム以上、HDLコレステロール(善玉)が40ミリグラム未満の場合とされている。脂質代謝異常症

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監修:松村明
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大辞林 第三版の解説

ししついじょうしょう【脂質異常症】

LDL コレステロール値が高く、 HDL コレステロール値が低い状態。心筋梗塞こうそくや狭心症など動脈硬化性に罹患りかんするリスクが高くなるとされる。 〔2007 年(平成 19)4 月、日本動脈硬化学会が診断基準を改定し、同時にこれまで広く使われてきた「高脂血症」という疾患名を「脂質異常症」と置き換えることを発表〕 → LDL コレステロール HDL コレステロール

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脂質異常症
ししついじょうしょう
dyslipidemia

従来、中性脂肪(トリグリセライド、トリグリセリド)数値、コレステロール数値、あるいはHDLコレステロール(高比重リポタンパクコレステロール)数値の異常を高脂血症と総称していたが、HDLコレステロール数値は分けて考えるべきという指摘と、欧米の慣習を取り入れて脂質異常症とされた。中性脂肪、コレステロール数値の異常については、高脂血症とよんでもよい。正常では、血清1デシリットルにつき、中性脂肪は30~150ミリグラム、コレステロールは150~220ミリグラム、LDLコレステロール(低比重リポタンパクコレステロール)は50~140ミリグラム程度存在する。したがって、これらの値を超えたときに高脂血症という。HDLコレステロールは血清1デシリットルにつき40ミリグラム未満の場合を異常とする。
 一般に、一次性(原発性)と二次性(続発性)とに分けられる。一次性は家族性に発生することが多く、二次性では肥満症、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺(せん)機能低下症、閉塞(へいそく)性黄疸(おうだん)などから発生する。一次性では中性脂肪またはコレステロールの代謝処理障害から発生することが多く、角膜辺縁に白色輪(角膜輪)が、皮膚にはコレステロールなどの沈着(黄色腫(おうしょくしゅ))がみられたり、狭心症、心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞、壊疽(えそ)などの発生原因の一つになっている。
 治療の基本は食事療法で、食事量の調節、とくに標準体重1キログラム当り25~30キロカロリーとし、アルコールや糖質の過剰摂取を慎む。カイロミクロン(乳糜(にゅうび))が増えたための中性脂肪の増加であれば、むしろ脂肪の制限が必要である。二次性の場合には、まず原病の治療が基本である。HDLコレステロール数値の異常は、喫煙、運動不足、肥満が問題で、これらを改善すべきである。薬物療法もかなり有効で、中性脂肪の異常にはフィブラート、ニコチン酸誘導体、デキストラン硫酸ナトリウムなどが用いられ、コレステロールの異常には各種スタチン、メリナマイド、プロブコール、コレスチラミン、エゼチミブなどが使われる。これらが無効であれば、血漿(けっしょう)交換や外科手術も行われる。血清脂質の管理が順調であれば、動脈硬化の進行は抑えられる。[中村治雄]

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