CAD-1

日本の自動車技術240選 「CAD-1」の解説

CAD-1

CADは1964年にGMがDAC-1を発表以来,各社で開発が進み,1970年代に入りGMとそん色のないレベルに到達した。日産では従来,CADANCE(Computer Aided Design & Numerical Engineering)システムとして各工程の電算化を積み重ねてきたが,一貫したシステムとして完成させ,量産車では検討図として活用すると共に,試作車では世紀図面として活用するレベルに達した。モニタープログラムは線図作成プログラム,メッシュ創生プログラム,フェアリングプログラムなどを統括し,PLAN(Problem Lamguage Analyzer,IBMの問題別言語解析プログラム)の下で働く。データ自体はバーチャルメモリ方式で扱っている。メッシュ創生プログラムはオンライン測定器からの連続データを3次元線分データを組み立てる。フエアリングプログラムは,基本的に弾性ビームに置き換え,そのビームが最少エネルギになるよう形状を定めている。データファイルを基に,マスターモデル切削用NCテープをオンラインで作ることができる。試作車の例では,1)測定点データのリスト2)測定点を補完したカーブフィッティング図3)フェアリングした線図4)カーブトグラスフランジ線,ウインドシールドフランジ線,ルーフレール図5)ジグ設計用各断面図を作成した。1977年には車体設計業務の利用が始まり,1978年には量産プレス型加工にいたるCAD/CAMデータの一元化が実現している。保管場所日産自動車(株)車両先行開発部 (〒243-0192 神奈川県厚木市岡津古久560-2)
製作(製造)年1971
製作者(社)日産自動車(株)
資料の種類その他(資料)
現状保存・非公開
会社名日産自動車(株)
通称名CAD-1
製作年1971
構造・方式・手段・方法等CAD/CAMは自動車部品の設計から生産までをコンピュータを利用して効率化し,新車開発のリードタイム短縮を目的に開発された。ボディ外板は,クレーモデルの測定に始まり車体外板の数値データファイルの作成,データファイルを利用しての線図描画,更にNC加工機へのデータ作成までの一連の流れの自動化を指向するもので,大型計算機,グラフィックディスプレイ,測定器,自動製図機等を有機的に結合したオンラインシステムである。ハードウェアはIBM360M5を中心にIBM2250グラフィックディスプレイを中心に,紙テープ入出力装置などインターフェース装置等からシステムは構成され,リストプロセシングとバーチャルメモリの手法を用いて大量のデータを扱い,車体形状を数学的に定義するためのソフトウェアを作成した。
機能・作用等従来,車体設計の構造検討用として用いられていたが,システム完成により先ず,試作用車輌の正規の線図として使われた。
効果リアルタイムで図面情報が車体設計者に伝わり,初期設計の検討が短時間で可能となった。
参考文献・日産技報Vol.7 P3~13 1972・自動車技術会春季大会講演前刷集P233~238

出典 社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について 情報

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