オンラインシステム(読み)おんらいんしすてむ(英語表記)on-line system

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オンラインシステム」の意味・わかりやすい解説

オンラインシステム
おんらいんしすてむ
on-line system

コンピュータと直結して情報処理を行う方式、またその装置全体をいう。オンラインとはもともと中央処理装置と直接結んで動作することをいい、オフライン動作と対をなす概念である。とくにオンラインシステムとよぶ場合は、銀行の窓口業務や、列車の座席予約兼乗車券発売業務のように、実務の現場に置かれた端末装置中央のコンピュータと直結し、中央に集約された情報を直接取り出したり、また現場の情報を中央に直接送ったりするシステムのことをさす。この場合オンラインシステムの特徴は次のようになる。

(1)現場に何台かの端末装置を設置し、それらが通信回線を介して中央処理装置と接続可能になっていること。端末装置の機構は、銀行の現金自動預金支払機のような特殊用途のものから、汎用(はんよう)のワークステーションとかデータターミナルとよばれるものまで多種多様である。現場と中央処理装置との間の距離は、何百キロメートルも離れていてもよい。

(2)即時処理であること。中央のコンピュータに集約された情報(これをファイルとよぶ)は、業務の遂行に伴って、つねに最新の状態を保つ必要がある。端末からの指示に従って、情報は即座に更新され、端末からの要求に従って、最新の情報を端末に知らせなければならない。

 以上の機能を果たすために、オンラインシステムの設計・開発は、一般の一括処理(いわゆるバッチ処理、すなわち単独で働くプログラム実行)のプログラムを開発する場合とは異なる配慮が必要となる。たとえば、中央処理装置からみた端末装置との情報のやりとりが、一般の入出力装置との間の情報のやりとりと変わらないように、プログラムを作成できることが望ましい。また、中心となるファイルに対して、多数の端末から内容の書換え要求がくるので、同じファイルに対して同時に2か所以上の端末から書込みを行ったり、書込みの最中にファイルの読出しを行ったりしないように、タイミングの制御に十分気をつける必要がある。また、不用意に書込みを行って重要な情報の記録を壊してしまわぬように、入力のチェックを厳重にする必要がある。また情報の機密保護の問題も考慮しなくてはならない。さらに、不慮の故障に備えて、いつでも原状を回復できるように、予備のファイルと書換えの記録を別に保存する形に設計を行う習わしである。これをバックアップ‐リカバリー機能とよんでいる。

 なお、対話形式でコンピュータと接続して、プログラム開発をしたり、一括処理のプログラムを起動したりする、いわゆるタイムシェアリング・システム(TSS)は、形態としてはオンラインであるが、狭義のオンラインシステムには含めないのが普通である。

[小野勝章]

『日本電気情報処理教育部編『オンライン・システム設計入門』(1977・日本能率協会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オンラインシステム」の意味・わかりやすい解説

オンラインシステム
on-line system

入出力端末装置がコンピュータの中央処理装置に直結されて制御を受ける処理方式。中央のコンピュータに集約された情報がデータの入力と同時に常に最新の状態で管理される (リアルタイム処理 ) 。1台のコンピュータで2つ以上の処理を時間分割して交互に実行するタイムシェアリング方式を広義でのオンラインシステムと呼ぶこともある。実際の利用法は各工場,支店,事務所などと本社にある中央のコンピュータをデータコミュニケーション・システムで直結し,各工場,支店,事務所にある端末機からの発生データを電信,電話線を通じて直接投入して処理する。この際,データの伝送,データの処理,そのフィードバックなどが一貫した体系として組織されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android