大学事典 「GIビル」の解説
GIビル
ジーアイビル
第2次世界大戦中の1944年に,アメリカ合衆国のローズヴェルト政権が成立させた退役軍人援助法(アメリカ)(Serviceman's Readjustment Act of 1944,PL78-346)とその恩典,また,その後のプログラムをいう。在郷軍人会が同法を「兵士の権利章典G.I. Bill of Rights」と賞賛し,GIビルという通称が普及した。教育恩典(education benefits),住宅・農場・法人取得のための貸付,失業手当などが盛り込まれていた。この教育恩典によって200万人を超える成人学生が入学・復学し,大学の大衆化の一因になったといわれる。復員軍人援助法(アメリカ)などの訳語もあるが,看護師や事務職,国内基地スタッフも利用できるものであった。時限的な政策であったが,朝鮮戦争,ヴェトナム戦争を経て恒常的な事業となり,2001年9月以降はポスト9.11 GIビル(Post 9/11 GI Bill)として実施されている。
著者: 犬塚典子
参考文献: 犬塚典子『アメリカ連邦政府による大学生経済支援政策』東信堂,2006.
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報