日本大百科全書(ニッポニカ) 「HbA1c」の意味・わかりやすい解説
HbA1c
へもぐろびんえーわんしー
血液中のヘモグロビンにグルコース(ブドウ糖)が非酵素的に結合したもの。糖化ヘモグロビン。
HbA1cは採血検査によって調べることができ、血糖値とともに、糖尿病の診断や血糖コントロール(血液中のグルコース濃度=血糖が適切な状態に制御できているかどうか)の評価に用いられる。
HbA1cの値は、過去1~2か月間の平均血糖値を反映したものであることから、長期間の血糖コントロールの推移を把握するのに役だつ(血糖値は、採血したその時点の値をみるものであり、採血前の食事や運動などの状況によって値が大きく変動しうることから、長期的な血糖コントロールのよしあしをみるのにはかならずしも適していない)。
HbA1cの基準値は4.6~6.2%とされ、6.5%以上では「糖尿病型」とされる。糖尿病の診断にはHbA1cと血糖値が用いられ、HbA1cが高値(糖尿病型)であるだけでは糖尿病とはいえず、血糖値も同様に高値(早朝空腹時血糖値で126mg/dL以上など)である場合に糖尿病と診断される。
HbA1c値は日本のみならず、糖尿病治療上の重要な指標として国際的に使用されているが、国内で使用されてきたJapan Diabetes Society(JDS)値は、国外で使用されているNational Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)値と比較すると、約0.4%低値であったことから、国際標準化を図る目的で、研究場面においても臨床場面においても、2012年(平成24)4月1日より全国一斉にNGSP値が用いられることになった(特定健診・特定保健指導においては、システム上の混乱等を避けるため、2013年3月末までJDS値のみが用いられた)。このため、過去のHbA1cの検査結果を参照するときには、JDS値とNGSP値が混在している可能性を考慮し、留意する必要がある。
[編集部 2018年3月19日]