大学事典 「LMD」の解説
LMD[仏]
エルエムデー
欧州統一基準に基づくフランスの高等教育学位(フランス)。高等学校修了水準の大学入学資格であるバカロレアを取得後,高等教育機関で3年,5年,8年の課程を修了した者に,それぞれLicence(学士),Master(修士),Doctorat(博士)の学位が授与され,それらの頭文字をとってLMDと称される。1998年の英仏独伊4ヵ国によるソルボンヌ宣言,99年の29ヵ国によるボローニャ宣言を経て,欧州高等教育圏創設に向けたボローニャ・プロセスの中で2002年に制定された。同プロセスの欧州単位互換制度(ECTS)を導入し,1年間で60単位の履修を基準として,同制度を導入する国内外の高等教育機関との単位互換が可能になった。フランスの従来の高等教育資格もLMDの中に位置づけられ,大学以外でもグランド・ゼコール修了者は5年次相当の水準となり博士課程に開かれるなど,複線型高等教育の収斂が図られ,学位水準における教育の質保証が求められた一方,欧州の人材移動拡大に向けて高等教育の市場化を推進する役割を担った。
著者: 大前敦巳
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報