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大学卒業者に与えられる学位。新制大学発足時は24種,旧制大学時代は12種であった。現在の学士制度は欧米の大学卒業者に与えられるバチェラーbachelorの制度を移入したものである。しかし,日本の大学制度の中に学士制度があらわれたのは1872年(明治5)の〈学制〉の中であり,この時は古代の律令制度にならって,博士(はかせ),得業士と並んで大学卒業生への学位の一つとされた。東京大学の創立(1877)以降,欧米大学の制度にならった学士制度が実施されたが,この時も,学士は学位であり,高い威信をもつものとされた。しかし帝国大学制度の発足(1886)以後,学士号は帝国大学卒業生の称号となり,大正期以降公・私立大学が生まれると,その卒業生にも与えられるようになった。第2次大戦前の学士号がある種の社会的威信をもっていたのに対し,戦後はほとんどそれが失われ,たんなる称号とされていたが,1991年に学位規則が大幅に改正され,学士も博士,修士と同様,学位の一種とされることになった。また同時に〈科目等履修生制度〉が創設され,規定の科目単位数を取得した者には学士学位が与えられることになった。
→学位
執筆者:寺﨑 昌男
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学位の一種。イギリス、アメリカではバチェラーbachelor、フランスではリサンスlicenceで、3、4年の大学卒業生に授与される。日本で学士制度が現れるのは1872年(明治5)の「学制」からで、学位の一つであったが、1886年の帝国大学発足以後、「学士」は称号となり、3年在籍を要件とした。新制大学では、1947年(昭和22)に発足した当時は4年在籍を履修要件とし、称号扱いであったが、1991年(平成3)学位規則が改正され、学士の称号は学位となった。また、それまで大学卒業者にしか与えられていなかった学士号は、同年設置された学位授与機構(現、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)により、大学校(防衛大学校、海上保安大学校など)の卒業者や、短期大学、高等専門学校を卒業して大学などで必要な単位を累積取得した者にも授与されるようになった。
[金子忠史]
『絹川正吉・舘昭編著『学士課程教育の改革』(2004・東信堂)』
学士号または学士号取得者(日本)を指す。学士号(日本)は,日本ではおおむね大学の学部で4年の学修を終え授与される称号である。明治時代には当初学士号は安定せず,1886年(明治19)の帝国大学令で帝国大学卒業生に与えられる称号となり,翌年の学位令で学位から外された。学士といえば帝大卒という時期もあったが,徐々に対象者が広がり,1919年(大正8)の大学令施行で本格的に帝国大学以外に広がった。もともとバチェラーは,ヨーロッパの中世大学において,学生と教師(ドクター)の中間に位置し,半人前のドクター,教師の助手として位置づけられていた。だが,バチェラーが最も明確に位置づけられ定着したのは,国家資格が学位よりも優位となったヨーロッパよりも,大学院教育がカレッジ教育から分離し,大量のバチェラーを生むことになったアメリカ合衆国であった。日本では学士よりも「大卒(日本)」のほうが流通しているが,1991年(平成3)の学位規則改正以降,学士号が学位として位置づけられ,4年間の大学教育を,教育目標やカリキュラムが明確化された学位プログラム化(日本)することで,よりアメリカ的な学士課程教育として位置づけようとする取組みがなされている。
著者: 阿曽沼明裕
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…専門的な学問を修得したこと,あるいは学術上の創造的業績をあげたことを証明するために,大学または国家が与える称号。日本では学士,修士,博士(はくし)の三つがある。
[沿革]
博士をはじめとする学位制度の起源は中世ヨーロッパの大学にある。…
…天子の秘書であり,また政治の顧問にあずかった。その宮中における出仕の館,翰林学士院は略して翰林院,また学士院と称せられ,雅名を翰苑という。翰林学士は初め,書画医卜などの専門家と共に宮中に召され,翰林待詔と呼ばれたが,玄宗の開元26年(738)独立して学士と称せられるようになった。…
※「学士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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