日本大百科全書(ニッポニカ) 「NT測定」の意味・わかりやすい解説
NT測定
えぬてぃーそくてい
ダウン症候群など染色体異常の早期発見のために、超音波により胎児の項部(こうぶ)、すなわちうなじ周辺のむくみ(肥厚の程度)を測定する検査。NTはnuchal translucencyの略で、胎児項部透過像と訳されている。この検査は産婦人科において日常的に行われている。妊娠初期の10週から14週の間に行われるが、初期にみられる肥厚は正常な胎児にも認められることがある。超音波により胎児の側面から観察し、皮下のむくみ(浮腫)が3ミリメートル以上認められる場合に染色体異常の可能性を疑う。ダウン症候群(21トリソミー)、トリソミー症候群(13トリソミー、18トリソミー)やターナー症候群などの染色体異常が疑われる。しかし正常の組織像が誤って肥厚として観察される場合や、デリケートな検査手技を伴うため測定時に微妙な誤差が生ずる可能性も考えられる。さらに検査の精度自体にもばらつきがあるといわれており、肥厚が観察されても、実際には染色体異常を認めない例も報告されている。
[編集部 2016年6月20日]