日本大百科全書(ニッポニカ) 「13トリソミー」の意味・わかりやすい解説
13トリソミー
じゅうさんとりそみー
trisomy 13
常染色体のうち、13番染色体がトリソミー(通常は2本の相同染色体が1本多くある異数性染色体異常)を呈していること、また、それにより生じる症候群。その多くは染色体不分離による。1960年に病理学者パトーKlaus Patau(1908―1975)らが最初に報告したためパトー症候群ともよばれる。小頭症や重度の精神運動発達遅滞などを特徴とする先天性異常で、小眼球症や無眼球症もしくは単眼症、眼(め)の虹彩(こうさい)欠損や両眼開離、耳介低位、口唇裂、口蓋(こうがい)裂、心臓奇形、多指症など、さまざまな形態異常を伴う。5000~1万2000人に1人の割合で出生し、出産年齢が高くなるほどその比率は高まる。生命予後は一般に不良で、乳児期に亡くなることが多く、生育しても発育不全を伴う。
なお、染色体の数的異常のうちもっとも多いのは21トリソミー(ダウン症候群)で、ついで18トリソミー、13トリソミーであるが、トリソミーを呈する個体で出生まで生存が可能なのはこの3種のみである。13トリソミーや18トリソミーの予後は深刻ではあるが、近年では積極的な治療により従来より長期生存が認められる例もあり、児の最善の利益と家族の意向を尊重した医療が提供されることが望まれる。
[編集部 2020年8月20日]