18トリソミー(読み)じゅうはちとりそみー(その他表記)trisomy 18

日本大百科全書(ニッポニカ) 「18トリソミー」の意味・わかりやすい解説

18トリソミー
じゅうはちとりそみー
trisomy 18

染色体のうち、18番染色体がトリソミー(通常は2本の相同染色体が1本多くある異数性染色体異常)を呈していること、また、それにより生じる症候群。その多くは染色体不分離による。1960年に初めて報告した医師エドワーズJohn H. Edwards(1928―2007)にちなみエドワーズ症候群ともよばれる。出生時の低体重と精神運動発達遅滞などを特徴とする先天性異常で、子宮内胎児発育遅延がみられ、後頭の突出、耳介低位および変形、小顎(しょうがく)、指が重なる特徴的な手の握り、関節の屈曲拘縮(こうしゅく)、骨盤狭小、心室中隔欠損や心房中隔欠損などの心臓疾患、食道閉鎖、鎖肛(さこう)、腎(じん)奇形、多毛などさまざまな形態異常を伴う。女児に多く、3500~8500人に1人の割合で出生し、出産年齢が高くなるほどその比率は高まる。生命予後は一般に不良で、医療的な介入がなされなければ1~2歳までに亡くなるケースが多数を占める。

 なお、染色体の数的異常のうちもっとも多いのは21トリソミーダウン症候群)で、ついで18トリソミー、13トリソミーであるが、トリソミーを呈する個体で出生まで生存が可能なのはこの3種のみである。13トリソミーや18トリソミーの予後は深刻ではあるが、近年では積極的な治療により従来より長期生存が認められる例もあり、児の最善の利益と家族の意向を尊重した医療が提供されることが望まれる。

[編集部 2020年8月20日]

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六訂版 家庭医学大全科 「18トリソミー」の解説

18トリソミー
Trisomy 18
(遺伝的要因による疾患)

 18番染色体のトリソミーによる疾患です。妊娠の中期~後期にかけて、胎児の発育が遅くなったり、羊水過多がきっかけとなって診断されることがあります。出生の頻度は新生児8000人に1人程度で、女児が多いとされています。

 出生時の体重が少なく、口と下顎が小さく、鼻筋がとおった細い鼻、弓状の眉毛をもつ繊細な顔立ちです。筋緊張が強く関節が拘縮(こうしゅく)し、指が他の指に重なる手の握り方で、足底がロッキングチェアの底のように丸くカーブします。

 重い心疾患があり、治療が困難なこともしばしばです。そのため分娩時や1歳までに死亡する子どもも多く、発達も遅れますが、積極的な治療によって救命される子どもも少しずつ多くなってきています。

古山 順一, 玉置 知子

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

知恵蔵mini 「18トリソミー」の解説

18トリソミー

第18番染色体が1本多いため発症する先天性疾患の一つ。1960年にイギリスのジョン・エドワーズにより報告されたため、エドワーズ症候群あるいはEトリソミーともいわれる。ダウン症(21トリソミー)に次いで発生頻度が高い先天性染色体異常症で、出生児の3000~1万人に1人ほどの頻度で発生する。18トリソミーの胎児は、胎動微弱・羊水過多など重度の発達障害により自然流産となることが多い。無事に生まれても生後1週間以内に約60%が死亡し、生後1年まで生存する子は10%未満とされている。通常は、精神遅滞や発育不全が見られ、頭が小さく後頭部が突出し、耳の位置が低く、顎が小さいなどの特徴的な容貌となる。重度の心疾患を発生しやすく、肺や消化管、腎臓、尿管などに異常が生じることもある。2014年現在、特異的な治療法はない。

(2014-8-29)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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