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染色体異常 せんしょくいたいいじょう

妊娠・子育て用語辞典の解説

せんしょくいたいいじょう【染色体異常】

人間の遺伝子(DNA)は、細長い糸が二重のらせんになった構造をしています。このらせん糸はとても長いので、折りたたみ、さらにくるくると毛糸のように太く巻いて収納します。それが「染色体」。染めて顕微鏡で見ることができるので、こう呼ばれます。人間は23ペア、46本の染色体を持っています。地球で生きる生物は、動物はもちろん、虫や植物もすべて染色体を持っているのです(ただし染色体の数は違います)。
染色体異常は、文字通り、染色体に起こるトラブルを言います。46本のはずが「1本多い」「少ない」など数の異常のほか、染色体の一部分が欠けてしまうなどのトラブルもあります。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(愛育病院院長)、子育て編:多田裕(東邦大学医学部名誉教授) 妊娠・子育て用語辞典について 情報

家庭医学館の解説

せんしょくたいいじょう【染色体異常 (Chromosomal aberration)】

 染色体異常には、性染色体異常と常染色体異常があります。
◎性染色体異常(せいせんしょくたいいじょう)
 性染色体異常の表現型(からだへの現われ方)は、常染色体異常と比較すると乏しいことが一般的で、とくに小児期においては臨床診断がむずかしい場合が少なくありません。

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世界大百科事典 第2版の解説

せんしょくたいいじょう【染色体異常 chromosomal aberration】

染色体の数や構造に異常が生じることをいう。突然変異の一種とみなし,染色体突然変異と呼ぶこともある。減数分裂から受精が完成するまでの間に最も起こりやすい。数の変異には,倍数性,半数性,異数性(基本数の整数倍から外れた染色体数をもつ場合をいう)がある。一方,構造の変異には,同一染色体内で起こる欠失,重複,逆位,転位などと,他の染色体との間で起こる転座,付着,挿入などがある。
[ヒトの染色体異常]
 ヒトの場合も減数分裂や受精の際に種々の異常が起こると,染色体異常となる。

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大辞林 第三版の解説

せんしょくたいいじょう【染色体異常】

突然変異の一。染色体の数あるいは構造の変化。人為的にも薬品・放射線などにより起こすことができる。人ではダウン症候群・ターナー症候群などの形で現れる。染色体突然変異。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

染色体異常
せんしょくたいいじょう
chromosomal abnormalities

染色体の分離に異常が生じたり,染色体の一部がちぎれて他の染色体についたりするために起るもので,染色体の数の異常,構造の異常を含む。クラインフェルター症候群ターナー症候群のように性染色体の異常によって起る疾患と,ダウン症候群のように体染色体の異常に基づく疾患とがある。悪性腫瘍では,染色体数は正常の場合よりも本数が多く,細胞によって数が一定しないことが普通である。慢性骨髄性白血病の場合には,フィラデルフィア染色体といって,22番目の染色体の一部が欠失して9番目の染色体に転座するものが出現する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

染色体異常
せんしょくたいいじょう
chromosomal aberrations

生物の染色体の数および構造上に現れる異常のこと。生物は種によって染色体の数と形は一定で、それぞれの生物種の遺伝的な基礎となっている。しかし、自然にまたは放射線や薬物処理などによって、基準となる染色体の数や形のうえに異常の生ずることがあり、染色体突然変異ともいう。染色体異常は染色体数と構造異常の二つに大別される。[吉田俊秀]

染色体数の異常

正常な体細胞は精子および卵子由来のそれぞれ半数(n)の染色体が合体して二倍性(2n)の染色体数をもっている。たとえばヒトの二倍性(2n)の正常染色体数は46本で、23本は母方から、ほかの23本は父方から由来した。正常二倍性より離れた染色体数をもつ細胞は異常で、半数の染色体しかもたない場合を半数体、3組以上の染色体をもつものを倍数体という。植物では半数体や倍数体はしばしば観察され、とくに倍数体育成は育種法の一つとして重要視されている。しかし、動物ではまれで、実験的にカエルなどで作出されている程度である。生物種の基本染色体数よりも1個から数個離れた染色体をもった個体を異数体(または異数性)という。染色体が多い場合を高異数体(性)、少ない場合を低異数体(性)とよぶ。2nよりもある染色体が1個多い場合をトリソミック(2n+1)、また1個少ない場合をモノソミック(2n-1)という。異数性は正常二倍性の中に含まれているある染色体の増減の場合をいうが、ほかのどの染色体とも相同でない染色体が余分に含まれている場合は、これを過剰染色体またはB‐染色体という。[吉田俊秀]

染色体の構造異常

染色体の一端が逆転している場合を逆位、一部分が失われている場合を欠失、一部分が重複している場合を重複、染色体の一部または全部が相同のほかの染色体、または相同以外の染色体と結合する場合を転座などとよぶ。
 染色体異常の原因や染色体の数的異常は、細胞分裂時の染色体の異常配分に原因する。核分裂のみがおこって細胞分裂が伴わないと倍数性細胞(4n)になる。細胞分裂が進行して娘(じょう)染色体が両極へ移行するとき、誤って2個の娘染色体が分離しないでそのまま一方の極へ移行すると、いわゆる不分離現象がおこって異数性細胞が生ずる。染色体の構造異常のおもな原因は染色体の切断と再結合である。染色体に切断がおこっても大部分はそのまま再結合するが、切断されたものがそのまま失われたり、ほかの染色体の切断片と再結合することがある。染色体切断が細胞分裂周期のどの時期におこるかによって、分裂中期に現れる構造異常の型に差異が現れる。
 染色体の数的または構造的な異常は突然変異の原因となる。たとえば、ヒトの21番目の染色体を1個余分にもった個体は21トリソミーとよばれてダウン症候群となる。X染色体を1個余分にもった男性はXXYの性染色体構成となって、クラインフェルター症候群となり、逆に1個のXを欠いたモノソミックXの女性はターナー症候群となる。これらは卵子または精子形成時の第21番目の染色体またはX染色体の不分離現象に起因する。染色体の構造的な異常があっても染色体の総体量に変化がおこらない場合には、形質発現上異常を伴わないことが多い。[吉田俊秀]

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世界大百科事典内の染色体異常の言及

【遺伝病】より

…これらは,それぞれ対立遺伝子の組合せによって起こるが,伴性優性遺伝病はビタミンD抵抗性くる病など,限られた疾患で観察されているにすぎない。 広義の遺伝病には,染色体異常や多因子遺伝性疾患などが含まれる。先に述べたように,ほとんどすべての病気に遺伝的要因は関与しているから,広義の遺伝病の範囲は必ずしも判然としない。…

【出生前小児科学】より

…受精後3ヵ月を胎芽期と呼び,各臓器が形成され,以後の胎児期にその形態と機能が発達する。胎芽期の胎内異常環境,薬剤服用,放射線照射は,臓器形成を阻害し,染色体異常とともに先天奇形の原因となる。ほかに遺伝性奇形も存在する。…

【人類遺伝学】より

…さらに一部の遺伝子については,遺伝子の全暗号が解読されている。 遺伝的な原因によって生じる変異を遺伝的変異というが,ヒトの遺伝的変異は遺伝的原因の違いに基づいて,単因子性形質,染色体異常,多因子性形質の三つのカテゴリーに分類されている。第1のカテゴリーの単因子性形質は,単一の遺伝子座の遺伝子によって規定され,メンデル式遺伝をする。…

【精神遅滞】より

…外因性で最も多いのは出産時障害で,乳児期における脳炎,麻疹や猩紅(しようこう)熱による脳症がこれに次ぐ。染色体異常,先天性代謝障害,内分泌障害,母斑症も後者に含まれる。前者に比して概して重いものが多く,身体的・神経学的異常がみられることが多い。…

【羊水診断】より

…羊水穿刺(せんし)によって得た少量の羊水を用いて検索するので羊水診断と呼ばれる。Rh血液型不適合による胎児赤芽球症(新生児重症黄疸)の診断に羊水中のビリルビン測定が役立つことが認められたことに端を発し,1960年代に染色体異常,先天性代謝異常の診断が試みられ,臨床的に応用されることになった。羊水診断法のほか胎児についての情報は超音波,X線,心電図などの物理学的方法によっても得ることができ,これらを胎児モニターという。…

※「染色体異常」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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