日本大百科全書(ニッポニカ) 「ONEホールディングス」の意味・わかりやすい解説
ONEホールディングス(株)
おーえぬいーほーるでぃんぐす
Ocean Network Express Holdings,Ltd.
日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社のコンテナ船事業を切り離し、経営統合した株式会社。正式名称は「オーシャンネットワークエクスプレスホールディングス」。ONEは英語名の頭文字をとった略称で、日の丸コンテナ船事業を一つにするとの意がある。2017年(平成29)7月に発足し、2018年4月から営業を開始した。2020年(令和2)6月時点で、コンテナの輸送能力は158万TEU(20フィートコンテナ換算)と世界6位(世界市場でのシェア6.7%)。コンテナ事業は海運会社の売上げの2~3割を占める主力事業であるが、国際運賃の低迷で経営環境は厳しい。世界では、首位でデンマークのAPモラー・マースク社(世界シェア17%)、2位のスイス企業MSC(同15%)、3位の中国遠洋海運集団(同12%)などがM&Aを繰り返し寡占化が進んでいる。このため日本の海運3社も、世界120か国以上の港湾施設、代理店、子会社、港湾使用契約などを一本化してコストを削減し、コンテナ船事業の立て直しと国際競争力の強化を目ざしている。ONEホールディングスは持株会社で、傘下に実際の営業・企画・運航管理事業を行うシンガポール子会社のオーシャンネットワークエクスプレスと、日本代理店のONEジャパン(本社東京)をもつ。本社は東京都港区港南(こうなん)。代表取締役会長は川崎汽船常務執行役員であった新井大介で、オーシャンネットワークエクスプレスの最高経営責任者(CEO)は日本郵船出身のジェレミー・ニクソン。資本金5000万円で、出資比率は日本郵船38%、商船三井31%、川崎汽船31%。売上高1兆3891億円、純利益115億円(いずれも2020、連結ベース)で、初の黒字化を達成した。
[矢野 武 2021年2月17日]