コンテナ(読み)こんてな(英語表記)container

翻訳|container

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンテナ」の意味・わかりやすい解説

コンテナ
こんてな
container

反復使用できるような耐久性に富む、一般的には箱型をした大きな輸送容器。輸送用の「通い箱」ともいえる。

 貨物輸送は、国内国外を問わず、発荷主(工場、倉庫、流通センターなど)の戸口から着荷主(倉庫、店舗など)の戸口まで一貫して行われる必要がある。そのため主輸送機関に鉄道、船舶そして航空機などが使用される場合、その輸送の両端で、補助輸送機関としてトラックが利用されることが多い。こうした複数以上の輸送機関を組み合わせて一般貨物協同一貫輸送するときに、貨物を個々ばらばらなまま搭載すると、輸送途中での荷役(にやく)や荷崩れなどによる荷傷みが発生しやすく、かつ、各輸送機関の結節点での積み換えに多くの費用と時間を費やすこととなる。こうしたことを避けるためには、個々の貨物をまとめて一単位として輸送する必要があり、この輸送方式をユニット・ロード・システムunit load systemという。このシステムの代表的なものが、コンテナを利用するコンテナ・システムcontainer system、および簀子(すのこ)状をしたパレットとよばれる荷役台を利用するパレット・システムpallet systemである。コンテナは、輸送途中における貨物の安全性からみても、積み換えの合理性からみても、非常に優れた特性をもち、一般貨物輸送の中心的存在となっている。

 コンテナの種類は、見方によって種々に区分される。まず、国際輸送に用いられるか国内輸送に用いられるかによって、国際コンテナ、国内コンテナの区別がある。ついで、主輸送機関によって、鉄道コンテナ、海上コンテナ、航空コンテナに区分される。さらに、輸送対象によって、(1)普通、(2)冷蔵、(3)保冷、(4)通風、(5)タンク、(6)ホッパ(粉粒体貨物)の各コンテナに区分される。

 それぞれの主輸送機関ではコンテナ専用の運搬具を使用している。鉄道にはコンテナ貨車(コンテナ・オン・フラット・カー)、海運にはコンテナ船(リフトオン・リフトオフ・シップ)がある。また、航空では貨物専用機(フレーター)の多くがコンテナ搭載用となっている。さらに、鉄道駅港湾、空港には、コンテナのためのヤード(操車場)や、クレーンあるいは大型フォークリフトなどの特殊な荷役機械が配置されている。情報化の進展に伴って、コンテナの追跡システムも発展を遂げ、輸送途中におけるコンテナの位置は、国内でも、国外でも、瞬時に把握できるようになっている。

[野村 宏]

『日通総合研究所編著『最新物流ハンドブック』(1991・白桃書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンテナ」の意味・わかりやすい解説

コンテナ
container

貨物の合理的な輸送,特に協同一貫輸送を目的として一定の規格に基づいてつくられた箱状の容器。反復使用に耐えうる強度を備え,荷いたみを防ぐばかりでなく,荷役の機械化を容易にし,また貨物の包装も簡素化されるという利点をもっている。日本においては,物流面での近代化を促進するものとして,第2次世界大戦後本格的に採用され,以来急速に普及している。雑貨の輸送に適した普通コンテナのほか,特殊な設備を施した冷蔵コンテナ,タンクコンテナ,ホッパコンテナなどがある。また輸送能力の向上を目的に,コンテナの大型化が進行している。

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