知恵蔵 「RaspberryPi」の解説
Raspberry Pi
Raspberry Piのサイズは、85.6mm×53.98mm×17mmと、非常にコンパクトで、スマートフォンなどのモバイル機器で多く採用されているARM社製のCPU(中央演算処理装置)を搭載している。ディスプレイ出力はRCAコンポジットか、HDMIインターフェイスで、音声出力は3.5mmジャックかHDMI、キーボードなどは、USB2.0インターフェイス経由での接続となっているため、入出力操作は、一般的なパソコンと同じである。しかし、ハードディスクなどは搭載せず、OS(基本ソフト)は、別途用意したSDカードにインストールし、搭載されているSDカードスロットにセットして起動させる必要がある。また、OSは、Windowsではなく、Linuxと呼ばれるオープンソースのOSを採用している。Linuxには、「ディストリビューション」と呼ばれる様々な種類があるが、そのうち、Raspberry Piでは、「Debian」というLinuxディストリビューションをベースにした「Raspbian(ラズビアン)」や、「Fedora」をベースにした「Pidora(ピドラ)」などが利用でき、これらのOSは、Raspberry PiのWebサイト(http://www.raspberrypi.org)から、無償でダウンロードできる。
Raspberry Piには、メインメモリーが256メガバイトのModel Aと、512メガバイトのModel Bの2タイプがあり、それぞれ、25ドル、35ドルという低価格で購入できる。なお、Model Bは、USBポートを二つ搭載するとともに、10/100BASE-T Ethernetによる有線LANネットワーク接続が可能。国内では、Amazonなどからも購入でき、OSがインストールされたSDカードとセットのものもある。
このように、Raspberry Piは、世界中の子どもたちが、手軽に触れられるよう、また、次世代IT社会の発展へと寄与することを目的に、低価格で、持ち運びやすいコンピューターとして提供されている。特に教育機関では、Raspberry Piで、電子工作について学んだり、コンピューターやプログラミングに関する基本的な知識を学んだりするだけでなく、情報社会における論理的思考や想像力、コミュニケーション能力などを養う道具としても注目されている。
(横田一輝 ICTディレクター / 2013年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報