オープンソース(読み)おーぷんそーす(英語表記)open source

翻訳|open source

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オープンソース」の意味・わかりやすい解説

オープンソース
おーぷんそーす
open source

ソースコード(source code)で書いたプログラムを無償公開し、世界のプログラマーに参加を促してコンピュータが実行できるソフトウェアを開発すること。得られたソフトはOSS(open source software)とよばれる。1991年にフィンランドの学生トーバルズLinus Benedict Torvalds(1969― )が開発したネットワーク用のオペレーティングシステム(OS)「Linux(リナックス)」のソースコードを、インターネット上で無償公開したのが最初。これを見ただれかが改良し、だれかがバグを見つけ、だれかがそれを修正する。5000から1万人もの世界の頭脳が参加して開発を進めた結果、安定性のよいネットワーク管理用サーバーOSに成長した。これに倣って、WWWサーバー用のApache(アパッチ)、ブラウザー用のCommunicator(コミュニケーター)5.0、Java(ジャバ)コンパイラーのJikes(ジークス)、メールソフト用のSecure Mailer(セキュアメーラー)などがオープンソース化された。ワープロ表計算のようなユーザーに近いアプリケーションには不向きで、有償化や企業化するには著作権保証など未解決な問題もある。

 オープンソースのことばは、1998年にアメリカのネットスケープコミュニケーションズ社(のちにAOL社が買収)が、同社の製品の機能・品質向上とシェア回復のために名づけて採用し、普及させたものである。オープンソースの理念・運動は、コンピュータ業界だけでなく、製造やサービスなどの一般の企業、非営利組織行政機関にもアメリカを中心に広がっている。

[岩田倫典]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オープンソース」の意味・わかりやすい解説

オープンソース
open source

プログラムの具体的な表現であるソースコード(→ソースプログラム)を公開し,自由に改変することを認めるプログラムのあり方。フリーソフトウェア財団のユニックス用プログラム開発プロジェクトである GNUプロジェクト,リーナス・トーバルズオペレーティングシステム OSプロジェクトであるリナックスが好例。GPLなど添付されたライセンスにある条件下で改変,再頒布などが可能である。オープンソースは,ソフトウェアが万人のものであり,多くの人の知恵を集めた方が質の良いソフトウェアができるなどの哲学に基づいたものである。しかし商業化を否定するわけでもなく,新しいあり方として注目されている。(→フリーウェアフリーソフトウェア

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