化学辞典 第2版 「RRKM理論」の解説
RRKM理論
アールアールケーエムリロン
RRKM theory
単分子反応の理論の一つ.現在,速度定数を理論的に計算するのに,もっとも多く使用されているRice-Ramsperger-Kassel-Marcus理論の略称.リンデマン機構においては反応する分子の励起状態 A* の詳細については議論しないが,O.K. RiceとH.C. RamspergerおよびL.S. Kasselが独立に A* の状態数を計算する方法を提案し,単分子分解反応の速度定数の理論計算の可能性を示した(RRK理論). その後,R.A. Marcus(マーカス)は励起状態 A* と生成物の間に活性錯体 A‡ の存在を考え,E* というエネルギーをもつ励起状態が分解していく速度定数が次式で表されるとした.
ここで,hはプランク定数,N(E*)はエネルギー E* をもつ励起分子 A* の活性な自由度の状態密度,G(E′)は活性錯体の活性な自由度についての状態和(分配関数)である.これらの状態密度や状態和は,分子の構造がわかれば統計力学的に計算することができる.Marcusはこの方法を多くの実際の反応に適用して成功をおさめた.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報