日本大百科全書(ニッポニカ) 「R・U・R」の意味・わかりやすい解説
R・U・R
えるうーえる
Rossum's Universal Robots
「ロッサム万能ロボット会社」の略で、チェコの作家カレル・チャペックの四幕戯曲。1920年刊。21年初演。哲学者ロッサムが発明した万能ロボットが大量生産され、世界中に普及するようになる。知能はあるが、人間のような感受性や魂はもたぬ従順なロボットを思いのままに使役して、人間は安逸な生活を送ろうとする。しかし、ロボットは各地で戦争などに悪用され、その罰として人間には子供もできなくなり、世界中が不安な状態となる。ついにある日、特製の高等ロボットを中心とする大反乱が起こり、人間は皆殺しにされ、ロボットが世界の支配権を得るが、自らの労働に救いを求めていた信心深い建築主任だけは助けられる。やがて、自身の再生産の道を知らぬロボットたちに迫られ、その秘密を調べるために一体を解剖しようとするが、男女のロボットが、互いに相手のために身を捨てようとするのをみて、愛の芽生えと魂の誕生を知り、この新しいアダムとイブを自由にして、そのまま送り出してやる。全体的には機械文明の発達とその乱用に対する厳しい批判で、「愛こそすべての生の根源」という思想が結びとなっている。ロボットはチャペックの新造語で、この作品により世界中に広まった。
[飯島 周]
『鎮目恭夫訳『現代人の思想22 ロボット製造会社R・U・R』(1968・平凡社)』▽『千野栄一訳『ロボット(R.U.R)』(岩波文庫)』