日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョエル」の意味・わかりやすい解説
ジョエル
じょえる
Billy Joel
(1949― )
アメリカのポピュラー歌手、ピアノ奏者、ソングライター。ニューヨーク生まれ。4歳からピアノとクラシック音楽を学び、モーツァルトを好む。やがてエルビス・プレスリーの影響を受け、1964年にテレビでビートルズを見て発奮、ロック・グループのエコーズThe Echoesに参加する。67年ハッスルズThe Hasslesに移りアルバムを出すものの、商業的成功には至らず69年に解散。彼はドラム奏者ジョン・スモールとロック・デュオのアッチラAttilaを結成したが、アルバム1枚を出して70年に解散。解散後は一時ロック評論記事の執筆などをするが、71年秋にアルバム『コールド・スプリング・ハーバー』Cold Spring Harborを発表して演奏活動に復帰。翌年ロサンゼルスでラウンジのピアノ弾き語りを務め、73年にコロンビアと契約、アルバム『ピアノ・マン』Piano manを発表した。
このアルバムのシングル『ピアノ・マン』が1974年初頭からヒット。さらに77年にはアルバム『ストレンジャー』The Strangerを発表、収録曲『素顔のままで』Just the Way You Areが同年秋から大ヒットとなる。これで78年度グラミー賞最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞を受賞し、大スターになった。以降、アルバム『ニューヨーク52番街』52nd Street(1978)で79年度グラミー賞最優秀アルバム賞と最優秀ポップ男性歌唱賞、アルバム『グラス・ハウス』Glass House(1980)で80年度グラミー賞最優秀ロック男性歌唱賞を受賞。87年のワールド・ツアーでは初のソ連公演を果たした。93年に通算15作目のアルバム『リバー・オブ・ドリームス』River of Dreamsが世界的ヒットとなった。彼の作品は人々の生き方を外面と内面の双方から鋭く描き、人間と社会を叙情豊かにロックで語るその魅力は大きい。
[青木 啓]
『デビー・ゲラー、トム・ヒバート著、野間けい子訳『ビリー・ジョエル』(1985・CBSソニー出版)』▽『内田久美子訳『ビリー・ジョエル詩集』(1988・シンコー・ミュージック)』▽『ティモシー・ホワイト著、月村澄江・浅尾泰訳『ロック伝説下巻 プロフィールとインタビュー23』(1995・音楽之友社)』